元「STU48号」でPAC3ミサイル輸送も!? 自衛隊も愛用 劇場船転用のフェリーを見てきた!
劇場船としてはわずか2年ほどで終了
AKB48の姉妹グループとして2017年に発足したSTU48は固定の劇場ではなく、船上劇場で瀬戸内海に面する各県(山口、広島、岡山、兵庫、徳島、香川、愛媛)の港を回って公演を行うという構想を打ち立てていました。ただ、劇場機能だけを持つ船というのは前例がなく、ベースとなる船の選定に難航し計画は遅延。ようやく4度目の正直で「みかさ」に白羽の矢が立ちました。
「みかさ」は改造工事を手掛けるJMU(ジャパンマリンユナイテッド)因島事業所に入渠し、船名を「STU48号」へ改めます。同工場では船上に劇場を設置するために、まず既存の2層の上部構造を撤去し、その後に大型化した上部構造を劇場空間として新設するという工事が行われました。
ただ、既存のフェリー船を劇場船へ改装するというのは前例がなかったため、特殊な仕様を元に十分な安全性が担保されるよう、国土交通省が船舶の基本設計について技術的な支援を実施したほどです。
ちなみにSTU48は、国土交通省が推進する国民が海や船に親しむ事業「C to Sea(シー・トゥー・シー)プロジェクト」のアンバサダー(振興大使)であり、同省は「STU48号」を海や船の魅力発信のための重要な観光資源と位置付けていました。
「STU48号」は2019年4月に引き渡され、広島国際フェリーポートで船上劇場による公演初日を迎えます。同船は瀬戸内海7県の港だけでなく、同年7月には東京港にも入港し晴海ふ頭で一般公開とライブを行いました。
しかし、劇場船「STU48号」の活躍は長く続きませんでした。
2020年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大が起きると、ライブツアーは開催できない状況が続くようになります。とうぜん「STU48号」も例外ではなく、船上公演も政府からの要請に伴って中止を余儀なくされました。そして2020年7月、「STU48号」の使用を終えることが発表され、同船は2021年5月23日の公演をもって船上劇場としての役割に幕を下ろすことになったのです。
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