弾道ミサイルは東/ロケットは南へ 北朝鮮が使い分ける理由 日本はどっちにも打てる稀有な国!?

東にも南にも打てる、奇跡のポジション

 しかし1970年代頃になると、地球観測衛星の重要性が高まってきます。地球観測衛星は地球全体をまんべんなく観測できるよう、地球を南北に回る「極軌道」を飛行するので、宇宙ロケットは南か北へ打ち上げる必要があります。

 南向き打ち上げの場合、地球の自転はロケット打ち上げの助けにならず、むしろ少し逆らって打ち上げなければならないので邪魔になります。現在では、日本から打ち上げられる宇宙ロケットの約半数は南向きですから、必ずしも赤道に近い方が良いわけではないのです。

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日本周辺の領海や排他的経済水域などの概念図(画像:海上保安庁)。

 とはいえ日本は赤道から遠すぎず近すぎない、ほどほど良い緯度にあるので、宇宙ロケットの打ち上げには適しています。実は宇宙ロケット打ち上げ場所でより重要な条件となるのが、打ち上げ方向に陸地がないという点です。

 ロケットは打ち上げ後に分離されて落ちてきますし、飛行機より失敗確率が高いので事故による墜落も少なくありません。このため、ロケットの飛行経路は無人にする必要があります。できれば海、それも飛行機や船が少ない海域が良いのです。

 この視点で考えると、日本は世界的に見ても奇跡的に良い条件のエリアに位置しているといえるでしょう。日本列島は、東から南にかけての方角に太平洋が広がっており、ロケットをどちらへ飛ばしても他国の上空を通りません。内之浦や種子島からは、どちら向きにも発射できるのです。

 ただ内之浦や種子島からまっすぐ南へ打ち上げると南大東島や北大東島をかすめてしまうため、やや東を迂回する非効率なコースで打ち上げる必要があります。ゆえに、近年では南向き打ち上げに制約のない北海道大樹町で、北海道スペースポートの整備が進んでいます。

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