弾道ミサイルは東/ロケットは南へ 北朝鮮が使い分ける理由 日本はどっちにも打てる稀有な国!?
東と南に日本あり ロケット打ち上げにくい朝鮮半島
一方、朝鮮半島は極めて宇宙ロケットを打ち上げにくい場所です。東から南にかけて日本列島があり、どの方向に打ち上げても日本上空を通過してしまいます。
北朝鮮は1998年と2009年に、人工衛星を搭載したと主張するロケットを東向きに打ち上げて日本の東北地方上空を通過させました。宇宙空間には領空が及ばないので領空侵犯にはなりませんが、打ち上げ失敗時の墜落を考えれば、このような打ち上げは日本に危険を及ぼしてしまいます。
韓国は全ての宇宙ロケットを、南岸の羅老(ナロ)宇宙センターから南側へ向けて打ち上げています。沖縄の島の間を通るコースを選べば、日本に危険を及ぼさずに飛行することができるからです。しかし、東向き打ち上げが必要な衛星を自国内から打ち上げられないのは、韓国の宇宙開発には大きなネックになっています。
北朝鮮も2012年以降は、宇宙ロケットは南向きに打ち上げています。偵察衛星(地球観測衛星)は南北方向に飛行するからです。
こうして見てみると、北朝鮮が弾道ミサイルと異なりロケットは南向き、すなわち沖縄県方向へ向けて発射している理由がわかるでしょう。
ただし北朝鮮は、国連安保理決議で弾道ミサイル関連技術の開発を禁止されているため、宇宙ロケットの打ち上げも決議違反となる点は間違いありません。
【了】
Writer: 大貫 剛(宇宙・科学ライター)
宇宙開発を中心に活動する科学ライター。東京都庁の土木技術職員として11年間勤務後、宇宙開発ベンチャーを経て独立。宇宙船やロケットのほか、趣味のスカイスポーツや古巣の道路も取材する。子供の頃からの鉄道好きだが、最近は飛行機や車での移動も多い。
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