「鉄道ダメならバス」誰が運転するんだ!「バスがダメならタクシー」の幻想 乗務員不足もう限界
「バスがダメならデマンドタクシー」が空論である理由
最近は現在受託しているコミュニティバスなどから撤退したいといった事業者から自治体への要請すら各地で出ています。すでに自社路線の確保が厳しい中で、赤字補填が基本のため収支の面ではプラスマイナスゼロにしかならないコミュニティバスに人を配置する余裕がなくなってきているのです。
国の地域公共交通活性化・再生法(地域交通法)の動きなどもあり、全国でこれまでコミュニティバスが担ってきた地域交通よりも、さらに小規模できめ細かなニーズを拾うような公共交通が求められており、その典型ともいえるデマンド交通の計画が一種のブームのように広がっています。利用者の予約に応じて運行する交通機関ですが、ここでも今度は「バスがダメならデマンドにすればよい」と安易に考えている関係者が多いのが気になるところです。
デマンド交通の運行に携わるのは多くはタクシー事業者です。実はバスだけでなく、タクシーはもっと厳しい状況にあります。山口市で行った調査でも、2023年4月現在、タクシー14社が所定のサービスを継続させるためには、79人も不足しています。さらに高齢化もバスより深刻で、ドライバーの平均年齢が60歳以上の事業者が多く、70歳代が主力という事業者も少なくありません。
この結果、最近は認可上の営業区域とは関係なく、タクシーが常駐していない地域や迎えに行けない地域が増加したほか、営業時間にも制約が生じ、夜間は営業をしない事業者が増えています。大都市圏でも夜間の駅待ちが激減し、郊外の駅では5~6年前までは22~23時ごろに乗り場の他待機場にも10数台が並んでいたものでしたが、今は乗り場に1~2台いても待機場は空っぽで、あとは実車で出たタクシーが戻ってくるのを待つしかないほど切迫した状況になっています。
大都市圏と地方のタクシー事業者の社長が図らずも同じことを言っていました。
「ドライバーがみんな高齢になってしまって、夜になると見えないと言うんですよ。見えないと言われたら乗せられないじゃないですか。だから実質、深夜営業はできないと同じなんです」
伝えるべきは待遇向上じゃないんですか?
誇りとか言ってるうちは無理
そしてそんなことが言えるということはまだまだ余裕があるということ