日本でセスナが違法に!? アメリカ当局が航空機の法案改訂へ 遅れる日本の航空産業“置いてけぼり”か
既存の4人乗り小型機がLSAに鞍替えも
また、LSA規格の拡大に伴い整備や訓練、機体の運用方法など改訂は広範囲に及んでいます。
今後は90日間の意見募集期間を経て2024年中の施行が予定されています。なお、新しいMOSAICを適用したLSAは「m-LSA」と呼ばれるのだそうです。
昨年(2022年)、ブラジルのANACが世界の先陣を切る形でブラジル版“MOSAIC”の概要を発表して以来、m-LSAを先取りして新型機を発表するメーカーがすでに現れています
今後は既存の航空機メーカーが生産してきた4人乗りの機種をLSA規格で生産する動きが活発になるのではないかと予想されます。なぜなら、その方がコスト的に断然有利だからです。
そうなると、LSAの法的整備が進んでいない日本は、深刻な影響が出る可能性があります。なぜなら、国内においてLSAは実験機扱いで、実用機としての使用を認めていないからです。国内のLSA制度化や普及が間に合わない場合、国内で使える小型機がなくなってしまう恐れすらあります。そうなると、国内でパイロットの養成に使える機種がなくなってしまう事態すら想定されます。
今回の航空法改訂は広範囲に実施されることになりますが、航空の分野で世界をリードしてきたアメリカの航空法改訂は世界中に影響を及ぼすことは間違いありません。そのため、今回の改訂も新たな指針として各国へ波及することは必至です。
これらを鑑みると、日本はFAAのMOSAICを対岸の出来事としてとらえるのではなく、自身の問題として認識する必要があります。筆者(細谷泰正:航空評論家/元AOPA JAPAN理事)が考えるに、世界でいちばん「MOSAIC」が必要なのは、FAAではなくわが国でしょう。そのことを、どれだけ早く日本の行政当局が自覚できるか、それで日本の航空産業は大きく変わると筆者は捉えています。
【了】
Writer: 細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)
航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事
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