日本でセスナが違法に!? アメリカ当局が航空機の法案改訂へ 遅れる日本の航空産業“置いてけぼり”か
FAAの法案改定で4人乗りLSAが登場へ
航空法の改訂手続きも近代的で、改訂作業の可視化が徹底されています。FAAでは航空法の改訂作業を「ルール・メイキング」と呼んでいます。
今回、そのルール・メイキングの土台となる原案が「2023-14425号案」としてアメリカの連邦官報に公開されました。全部で318ページにも及ぶ大作です。今回の改訂は過去20年間で最大規模と言われていますが、原案の冒頭では改訂に至る経緯や改訂すべき理由について詳しく述べられています。そして、文書の日付は2023年7月24日とありますが、実際に公開されたのは現地時間7月19日なので、その点でも当局の意気込みが伝わってきます。
今回公開されたMOSAIC原案は、90日間のパブリックコメント募集期間に突入します。この時期に公開されたことには理由があります。今年は7月24日から世界最大の航空イベントとも形容されるEAA(Experimental Aircraft Association:実験航空機協会)主催のエア・ヴェンチャーがウィスコンシン州オシュコシュで開催されているからです。
今年は7月24日から30日までの一週間にわたって毎日、航空ショーや航空機に関する多岐に渡るセミナーが行われています。当然FAAによるMOSAIC説明会も開催されるでしょう。FAAとしてはMOSAICの原案をこのイベントの前に公開して、オシュコシュの会場で議論と意見交換が深められることを期待しているのです。
では、その中身を見てみましょう。
今までは、LSAの機体規模は最大2座席、総重量600kg(水上機の場合は650kg)、最大速度120ノット(約222km/h)などと規定されていました。
今回発表されたMOSAIC原案では、機体規模は最大4座席、総重量およそ3000ポンド(水上機も同じくおよそ1359kg)、最大速度はなんと250ノット(約463km/h)などと定めていました。これらの数字は現時点ではまだ仮案ですが、おそらく近い数字に決まるでしょう。
それ以外の細かい規定では、プロペラは可変ピッチもOK。動力はエンジンだけでなく、電動、ハイブリッドも可能。このような改定によって陸上機でも引き込み脚の装備が可能となります。
機体の規模は、4人乗りまでLSA規格が適用可能になりますが、それを操縦する機長の免許がスポーツパイロットの場合、乗客は1人だけに制限されます。これは自家用操縦士以上の資格を持つパイロットがLSA規格の機体を操縦することを想定しているものと思われます。
さらにLSAの用途についても、自家用や飛行訓練以外に農業、写真撮影、航空測量、救難救助などが含まれます。
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