ながら運転=「走る凶器」高速道路の工事規制に突っ込む事故“急増”の実態 犠牲になる作業員

ながら運転で人が死ぬ?

 ではなぜ、こうした事故が増えているのか。各社はその具体的なエビデンスやデータを積み上げるのに苦戦しているようですが、SNSなど一般向けの注意喚起では、やはり「ながら運転」への注意喚起を強化しています。

 NEXCO中日本東京支社は前出のSNS発信で、「運転支援機能を過信し、前方を見ていないと思われる事故や、スマートフォンを見ながらの『ながら運転』による事故の多発と考えられます。走行中は前を見て運転してください」としています。

 もちろん居眠り運転なども要因ではあるものの、近年になって顕在化しているのが、“運転支援機能を過信した”ながら運転です。

 設定したスピードを維持するACC(オートクルーズコントロール)が普及し、アクセルから足を離していても前車に追随して自動減速したり、車線を逸脱しそうになると自動で軌道修正したりする機能を備えたクルマが増えています。ACCで走行しながらスマホなどをいじっていて、前方の工事規制帯に気づかず、そのまま猛スピードで突っ込むケースが少なくないと考えられているのです。

 こうした運転支援機能としてのACCは、多くの場合、カラーコーンなどの工事規制器材には反応しないとされています。

 NEXCO3社は連携し、他責事故の原因分析や技術開発を行っていくといいます。ある幹部は、「もっと具体的な事故の態様を発信していくべきだ」と焦燥感をにじませました。

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工事規制の様子。規制を目立たせるためバルーン型の「i光太郎くん」を設置している(乗りものニュース編集部撮影)。

 現在、物流の配送時間短縮などを目的に、衝突時の被害の大きさからこれまで避けられていた、大型車の最高速度を80km/hから100km/hに引き上げる議論も国で行われています。これについて由木社長は「動向を見極めたい」としましたが、工事作業員のさらなるリスクとなる可能性もあります。

 この議論の背景には、大型トラックなどへ衝突被害軽減ブレーキなどの運転支援技術の実装が進んだことがあります。近い将来、工事規制帯も自動で避けるようになるのかもしれませんが、それまで、工事作業員は気の休まらない日々が続くのでしょうか。

【了】

【うわ…】爆増している「工事規制に突っ込む事故」の惨状(画像)

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