軍艦の“着せ替え”実現? 「今日は対潜戦、明日は機雷戦」 変身を可能にするコンテナとは
デンマークの防衛企業が開発する「キューブ・システム」が、水上艦艇の運用に大きな影響を与えそうです。搭載する装備を必要に応じて積み替えられる――コンテナサイズで実現することで、あらゆる艦艇に様々な能力を付与できます。
コンテナをとっかえひっかえ
軍艦の能力は、おおざっぱにいえば搭載している装備の種類に左右されます。たとえば、ソナーや魚雷など敵の潜水艦を探して撃沈する装備を積んでいれば、その艦は対潜戦能力を有しているといえます。しかし、現代では敵の脅威は多種多様で、そのすべてに対応しようとすると、搭載する装備の組み合わせも複雑になります。
そこで、相手の脅威にあわせて艦艇の装備をその都度交換できれば便利、という話になります。これが「モジュラー化」の基本的な考え方ですが、北欧のデンマークに本拠地を構える防衛企業「SHディフェンス」は、このモジュラー化に新たな波をもたらそうとしています。それが、同社が開発する「キューブ・システム」です。
キューブ・システムは、国際規格の商用海上輸送コンテナのなかに、各種装備を搭載したものです。このコンテナを必要に応じて乗せ換えることで、様々な能力をあらゆる艦艇に与えることができます。
今日は対潜戦、明日は機雷戦
キューブ・システムは、このコンテナと、それを艦艇に搭載するためのローダー、そして艦艇側の積載スペースから構成されます。コンテナには、対潜戦装備や無人航空機(UAV)、さらに小型水上艇など、300種類以上の装備を組み込むことが可能です。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻によってヨーロッパの海軍でも再び注目を集めている機雷の敷設装置も、パッケージ化されています。SHディフェンスの言葉を借りれば、「今日は対潜戦、明日は機雷戦」を同じ艦艇で実現できるのです。
コンテナは主に艦艇の側面か、あるいは後部のスペースに搭載されます。専用のローダーを用いることにより、港に停泊中の艦艇において、約4時間でコンテナの積み替えを完了できます。また、艦内の積載スペースの床にレールを組み込むことで、コンテナをスムーズに移動させ、必要に応じてコンテナの位置を入れ替えることも可能です。
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