ロシア上空迂回で超ロングフライトになった「ANA欧州線」運航はどう変化? 実乗&パイロットに聞く“工夫”
担当パイロット語る「より長くなった欧州線」の裏
また、取材日は雲がかかっているため見ることができませんでしたが、往路の北回り航路では消灯時間中、北極上空を通ります。天気がよければ空から北極圏を眺めることができるのも、ロングフライトのなかの楽しみのひとつになりうるでしょう。
同路線を運航するパイロットは「フライトが長くなるぶん、長さを感じさせないような工夫を、地上スタッフや客室乗務員、それぞれが凝らして部分が多く感じます。そういったところをぜひ感じていただければ」としたうえ、運航上の工夫や苦労を次のように話します。
「北極圏上空を通過する際には、磁気などの影響で無線が入りづらくなるのが、これまでの運航とは大きく違うポイントです。そのため、いろいろなところでアンテナを張り巡らせながら代替手段を講じて、クルー全員で安全運航を実現しています」
「万が一の際に目的地以外の着陸先として設定されている『代替空港』が、迂回ルートでは少ないというのもこれまでと違うところです。以前、北回りルートの東京発の便を担当したとき、カナダ北部やアイスランドの気象条件が悪く、代替空港として使用できないことがあり、フライト直前に回復の見込みが立たないとして、南回りルートに変更となったことがありました。時間的な制約があるなか、普段の想定と違った対応を求められるケースもあるのが、準備面などで従前とは違うところです」
【了】
Writer: 松 稔生(航空ライター)
国内航空会社を中心に取材を続け、国内・海外を奔走する日々を送る。ゆとり世代。
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