“怪しいフランス軍艦” 横須賀に突如寄港 戦闘機「ラファール」飛来の裏で動いていた抜け目のなさ

1年のうち休みはわずか15日ほど

「デュピュイ・ド・ローム」の船体と運航システムは商船と同じ仕様となっており、運航自体は30人の乗組員で対応することができます。航行可能日数は最大70日で、最近の年間稼働日数は約350日となっています。

 特徴的な中央部の2つのレドームには、衛星信号を傍受するパラボラアンテナが格納されています。船首側の細長いマストにはARBR 21レーダー警報受信機が装備されていますが、ほかにも衛星通信や秘匿通信、海上通信の傍受を行う特殊なアンテナを搭載しています。

Large 230808 french 02

拡大画像

2023年7月27日、埼玉県所沢市上空を飛行したフランス空軍の「ラファール」戦闘機(深水千翔撮影)。

 船尾側にも通信・会話情報の収集を行うCOMINT用のアンテナと、レーダー波などの電磁波を収集するELINT用のアンテナが備えられています。ほかにも通信設備として、「インマルサット」「シラキュース3」という2種類の衛星伝送システムを搭載しています。

 収集されたデータは、乗船している陸海空軍などから派遣された技術者約80人によって処理・分析されます。武装は12.7mm機関銃2挺のみですが、必要に応じて対空ミサイル「ミストラル」を設置することも可能です。

 ある意味、フランスの国家戦略の一端を担っているとも言える「デュピュイ・ド・ローム」が、なぜ横須賀に現れたのか。その理由のひとつには、東アジアで軍事的な緊張感が高まっていることがあげられます。同船は2014年のクリミア危機の後、たびたびボスポラス海峡を抜けて黒海に展開していました。ただ、一方で太平洋にも来航しており、2021年には台湾海峡や間宮海峡を通過し、この時も横須賀港に入港しています。

【横須賀にひっそり寄港】情報収集艦「デュピュイ・ド・ローム」をいろんなアングルから見る

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。