幸運艦ゆえ? “戦後”も生き延びた「旧日本海軍の軍艦」3選 想像だにしなかった余生 現存艦も
現存する唯一の旧海軍艦艇で南極観測船の「宗谷」
ソ連向けの耐氷型貨物船として建造され、紆余曲折を経て、旧日本海軍の特務艦「宗谷」として戦争を戦います。
「宗谷」は「雪風」と同じく戦時中の日本艦艇の中でも幸運な船として知られます。1942(昭和17)年の1月にトラック諸島でB24の空襲を受けますが、無傷でこれくぐり抜けたほか、1943(昭和18)年1月28日には、南太平洋のブカ島(現パプアニユーギニア)クイーンカロライン沖で敵潜水艦に魚雷を発射されるも不発で助かったエピソードなどもあります。
さらに1944(昭和19)年2月17日と18日のトラック島空襲では、座礁し総員退艦の命令が出て一時放棄されますが、空襲後はなぜか離礁して浮いており、艦を確認しに戻った乗組員を涙させたそうです。
終戦は日本本土で石炭輸送船として迎え、引き揚げ船としても使用されますが、その後、同艦には大きな仕事が与えられることになります。南極観測です。1955(昭和30)年11月、新造船を作る余裕のない日本政府は、当時は海上保安庁所属だった「そうや」を南極観測船「宗谷」に改修し、航海に出します。
この南極観測船に抜擢されたのには、砕氷機能がある貴重な船だったというほかに、どんな過酷な環境でも、「宗谷」ならきっと帰ってきてくれるという、運の良さも理由になったといわれています。なお、2023年現在も「宗谷」は、旧海軍に軍籍があった艦艇の中で唯一“船”として残っています。それ以外では、工作物扱いの戦艦「三笠」しか旧海軍の艦艇は日本に現存しません。
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Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)
ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。
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