古すぎ戦車も「ぼったくり価格」に!? レオパルト1「50両も買った」のは誰だ
対戦車戦闘があまり起こっていないからこそ…
今回取引されたのはレオパルト1の最終形であるA5という形式です。射撃統制装置こそ第3世代戦車並みに改修しましたが、主砲は105mm砲、装甲厚は砲塔前面でも100mm、エンジン出力は830馬力と、ロシア軍の第3世代戦車「T-72」には抗しようもありません。
しかし、ロシア・ウクライナ戦争では対戦車戦闘はそれほど起こらず、第2世代戦車とはいえども歩兵支援や砲撃用としては有用であることがわかってきました。また、レオパルト2やアメリカ製のM1エイブラムスのような第3世代戦車に必須となる、複雑なデジタル機器の取り扱い訓練も不要なこともあり、即戦力としてニーズが高まっています。
戦争の長期化が予想される中で、第2世代中古戦車の価値は上がってきています。デッドストックがお宝に化けつつあるわけです。いみじくも前述のOIPのベルスルイスCEOがいうところの、需要と供給の市場動向を的確に反映した公正な市場価格は、単なるぼったくりではなくなりつつあります。
ドイツは2023年2月に、レオパルト1A5をウクライナに輸出することを承認しました。それを受けてレオパルト1を運用していたドイツとデンマーク、オランダが少なくとも135両のレオパルト1A5を購入し、改修する費用を負担する計画となっています。
ここで問題になるのは、稼働状態へ改修するのに必要なパーツの供給問題です。半世紀前の戦車ですので、古くて製造終了しているパーツも多く、新規に製作するのもコスト面から難しくなっています。よく使われる解決策が、より程度の悪い車体から使える部品を取り外すいわゆる「共食い」です。
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