古すぎ戦車も「ぼったくり価格」に!? レオパルト1「50両も買った」のは誰だ
新ビジネス「中古戦車の再生事業」
ドイツは2023年5月、ウクライナ向けにレオパルド1A5を30両追加供与すると発表していましたが、ラインメタルが仕入れたのは50両です。つまり、後のメインテナンスまで見越して、20両の「共食い」用まで仕入れたということになります。
企業がデッドストックしているレオパルト1は、ラインメタルが88両、フレンスブルガー社が99両、OIPが30両、ルアグ社が96両。合計313両あることがわかっています。ドイツ政府が承認すれば、これらも市場に放出できるようになります。ただしスイスの企業であるルアグは、同国政府があらゆる兵器の再輸出を禁じていることから、96両分は見込めないかもしれません。しかし、残り217両は納品可能在庫となります。
デッドストックだったレオパルト1を稼働できるように再整備するには、例えば射撃システムの交換で35万ユーロ、エンジンルームに使われているアスベスト除去に7万5000ユーロかかるといわれていますので、中古戦車の再生事業はビジネスチャンスになりえます。
さらに稼働できない程度の悪い戦車も「共食い」用として売れるとなれば、ほんの2年前までは見向きもされなかった半世紀前の旧式戦車にも、熱い視線が注がれてくるのは当然です。戦車市場の「神の見えざる手」は、どのように作用していくのでしょうか。
【了】
Writer: 月刊PANZER編集部
1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。
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