ウクライナ落胆「F-16今年はこない」 活発化したロシア空軍への対抗策が遠のく 「戦闘機が欲しい」そもそもの理由
ロシア軍機に対抗できるのがF-16のみ
航空戦力に関しては、ウクライナ空軍の方が数的にかなり不利な状態にあります。しかもウクライナ空軍の主力戦闘機であるMiG-29では、ロシア空軍のSu-35などが迎撃にきた場合、レーダーや搭載している空対空ミサイルの性能に差が大きく、一方的に撃墜される危険性もあり、なかなか出撃が難しい状況となっています。
そうした前線の状況を好転させるために期待されていたのがF-16でした。同機は、ミサイルに搭載されたレーダーで標的を自動追尾する「アクティブレーダーホーミングミサイル」のAIM-120「アムラーム」を搭載でき、MiG-29よりミサイルの射程距離が格段に伸びます。
アムラームの最新型であるD型は、射程が約180kmといわれており、アクティブレーダーホーミングのため、撃った後は機体のレーダーで誘導する必要もなく、即離脱も可能です。ロシア空軍がウクライナ方面に投入している戦闘機のSu-27やSu-35と性能的には互角か、上回ることができます。
そうした背景もあり、2023年2月、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は「ウクライナに戦闘機を、自由の翼を」とF-16の供与をイギリス議会でNATOなど西側諸国に訴えたわけですが、少なくとも今年中に空戦での大きな変化は起こらないことが確定的となりました。
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Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)
ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。
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