「兵士も装備も足りません」ロシア軍が恒例の大規模演習中止か 英国防省が分析
ロシアの大規模軍事演習は「見せ物」だった?
演習に参加可能な兵員と装備が払底か
イギリス国防省は2023年8月28日(月)、ウクライナ紛争の状況に関する分析を更新。ロシア軍が2023年9月に実施を予定していた大規模実働演習「ザーパド23」を中止した可能性が極めて高いと明らかにしました。
「ザーパド」は「西」という意味で、ロシア軍の西部軍管区を中心に実施される大規模実働演習です。直近では2021年にベラルーシ軍と共同で行われ、兵員約20万人が参加。インドなど8か国からも兵員が参加しており、ソ連以降ではロシア最大の軍事演習となりました。
ロシア軍は2010年以降、大規模演習を4つの軍管区の持ち回りで毎年実施。東部軍管区での演習は「ヴォストーク」、中央軍管区の演習は「ツェントル」、南部軍管区は「カフカス」と呼ばれています。通常、各軍管区では4年に1回大規模演習が行われる形になります。ただ、2021年以降は「NATOの脅威への対抗」を名目に、ロシア西部での演習を2年おきに行う方針となっています。
イギリス国防省は、ウクライナ侵攻でのロシア軍の不振ぶりから、こうした演習の訓練価値が乏しく、「見せ物」であることが浮き彫りになったと指摘。ロシアは利用可能な兵員と装備が少なすぎるため、2023年の「ザーパド」演習を中止せざるを得なくなったと分析しています。
また、ロシア指導部も戦時中に、見せかけの大規模軍事演習を行って国内からの批判が高まることに敏感になっている可能性があるとしています。
【了】
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