撃破されてもウ軍はベタ褒め? 「チャレンジャー2」戦車は何がいいのか メディアの批判と裏腹の“評価”

イギリスではこれからも主力 どうなるチャレンジャー戦車

 チャレンジャー2戦車は「3」への改修でどのように変わるのか、その概要も明らかになっています。

 チャレンジャー1&2の主砲である120mmライフル砲の砲弾は、M1エイブラムスやレオパルト2などの主砲である120mm滑腔砲の砲弾と互換性がなく、NATO諸国との相互運用性の面で不利であると言われていました。このためチャレンジャー3はレオパルト2A6と同じ55口径120mm滑腔砲を装備する新型砲塔への換装が予定されています。

 また従来よりM1やレオパルト2に比べて機動力が低いという難点がありましたが、チャレンジャー3は大出力のエンジンと新型サスペンションの採用によって、路上最大速度を95km/hにまで引き上げられました。

 イラク、そしておそらくウクライナでも証明された防御力は、さらなる向上が図られており、新型モジュラー装甲の採用に加えて、ミサイルなどを迎撃するアクティブ防護システム「トロフィー」の搭載も予定されています。

 また、チャレンジャー3同士だけでなく、ヘリコプターや他の地上部隊とも情報が共有できる情報共有端末も搭載されるなど、現代の戦闘の帰趨を左右する指揮通信能力の強化が図られています。

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チャレンジャー2供与のため、イギリスでウクライナ兵の訓練が行われた(画像:イギリス陸軍)。

 イギリス陸軍は改修計画が決まった2021年3月の時点で227両のチャレンジャー2を保有しており、このうち148両がチャレンジャー3に改修されます。

 チャレンジャー3は2030年以降、長期に渡る運用が計画されています。チャレンジャー2にとってはウクライナが最後の戦場になるかもしれませんが、チャレンジャー戦車の戦いはまだまだ続くことになりそうです。

【了】

【え…】これがウクライナ兵を訓練した「戦車の教習車」です(画像)

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Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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