撃破されてもウ軍はベタ褒め? 「チャレンジャー2」戦車は何がいいのか メディアの批判と裏腹の“評価”
で、実際どうなの「ウクライナのチャレンジャー2」
撃破されたことや競技会での成績不振がメディアで大きく報じられる一方で、運用する将兵から高く評価される――この毀誉褒貶が定まりにくい感じはチャレンジャーシリーズの宿命と言うか、お約束(笑)なのかもしれません。
ウクライナで撃破されたチャレンジャー2の乗員4名は、全員生存しているとも報じられています。
イラクに派遣されたイギリス陸軍のチャレンジャー2は2006年10月、ロシア製の対戦車ロケット弾RPG-29の攻撃を受けて車体前面の装甲を打ち抜かれ、搭乗員4名のうち3名が負傷しています。また2007年4月にはIED(即席爆発物)が車体側面で爆発し、操縦手が片脚を失う大怪我を負うという事態にも見舞われていますが、いずれも乗員は戦死しておらず、自力で戦場を脱出したと伝えられています。
この両事案により、チャレンジャー2は極めて頑丈で、戦死者が生じにくい戦車だという評判を確立したと言えます。前に述べたウクライナ人操縦士はこうした評判を耳にしていたが故に、自らの命を預けるチャレンジャー2をベタ褒めしていたのかもしれません。
今回ウクライナで撃破されたチャレンジャー2は砲塔下部に152mm誘導ミサイルの直撃を受けたと報じられていますが、もし乗員4名が全員生存しているのであれば、チャレンジャー2はおそらく、頑丈かつ戦死者の生じにくい戦車という評価を、より確かなものにしたと言えるでしょう。
ただ筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は、おそらくウクライナがチャレンジャー2にとって「最後の戦場」になると予測しています。本国イギリスでは、陸軍が運用するチャレンジャー2が改修を受けて「チャレンジャー3」へ生まれ変わろうとしているためです。
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