「失敗したらえらいことに…」JR九州が威信かけた元「つばめ」のスゴさ 大評判から31年の“変化”

工業デザイナー・水戸岡鋭治氏の手掛けた列車が多く走るJR九州。なかでも1992年に登場した787系は、同氏が手掛けた初の新造車でした。「ホテル並みの列車」を目指した車両は31年目を迎えています。

大きな窓は特徴なのだが…

 改装された787系ですが、2011(平成23)年に九州新幹線が全線開通したため、それと接続する「リレーつばめ」は廃止されます。「つばめ」ではなくなった787系は、ロゴを「AROUND THE KYUSHU」に変更して日豊本線や長崎本線の特急となり、現在に至ります。

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観光列車「36ぷらす3」へ改造された(安藤昌季撮影)。

 動きがあったのは2019年。全車グリーン車の観光列車「36ぷらす3」用として、787系6両が改造されたのです。観光列車ということでビュッフェが復活し、豪華なフリースペース「マルチカー」も設置されました。

 座席は、800系新幹線を改良した1+2列に改められ、1号車はグリーン個室のみという豪華仕様となりました。土足禁止の客室も斬新でした。全席にコンセントが設置されたのも、時代に即した改良といえます。

 筆者(安藤昌季:乗りものライター)は「36ぷらす3」に乗車しましたが、かつての787系のビュッフェと異なり、注文した飲食物を隣の「マルチカー」で座って食べられることに感動しました。

 ただ、インテリアは素晴らしいですが、和風に徹した内装により、側窓は障子がはめ込まれて視界が半分となり、景色が見にくくなったことは改悪だと感じました。特に「障子が閉まった状態」で発車するので、外国人観光客は障子の開け方が分からず、景色を見られないと困っていました。

 787系のデザイン時に、水戸岡氏が「客室の窓が大きく取られたガラス張りの車両」を提案して日立製作所に却下されたエピソードがありますが、「36ぷらす3」や「ふたつ星4047」、「ロイヤルエクスプレス」といった近年のデザインは、上記と真逆な「大きな窓でも、改装で小さくする」デザイン方針で、残念に思います。

 JR九州のメインルートが新幹線となった現在では、787系のような豪華特急が製造されることはもうないでしょう。787系の1日でも長い活躍を祈念します。

【了】

※一部修正しました(9月28日11時00分)。

【え…】「元ビュッフェ車」という普通車です

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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