「グリペン足りなくなる」は杞憂? スウェーデン戦闘機の大幅増強へ舵 ウクライナ供与が現実味

北欧スウェーデンは自国製の戦闘機「グリペン」のウクライナ供与を決断するのか――同国を巡る状況が慌ただしく動いています。供与により自軍の戦闘力が損なわれるのが課題でしたが、逆に戦闘力の大幅増強へ舵を切りました。

お隣の3国はF-16の供与を決定済み

 スウェーデンを横目に、近隣のデンマーク、オランダ、ノルウェー3か国はウクライナへF-16戦闘機の供与を決定しています。オランダとノルウェーの両空軍は既に後継機であるF-35Aの運用を開始しており、デンマーク空軍にも2023年9月から、やはりF-16の後継機F-35Aの配備が始まります。

 では、スウェーデンの状況はどうでしょうか。

 航空専門誌「フライトグローバル」が2022年11月に発行した「ワールドエアフォース2023」(世界の空軍2023)によれば、スウェーデン空軍は2022年夏の時点でグリペンの単座型「グリペンC」を70機、通常は練習機として使用されている複座型の「グリペンD」を24機保有しています。

 スウェーデン政府はグリペンCの後継機として、グリペンの基本設計を流用した能力向上型「グリペンE」60機の導入を決定していますが、2023年9月の時点では引き渡されていません。このため仮にスウェーデンがまとまった数のグリペンC/Dをウクライナへ供与することになれば、スウェーデン空軍は一気に弱体化して、国防に大きな影響が生じてしまいます。

 このことも見越してか、スウェーデンで防衛装備品の開発や調達などを手がける官庁のFMV(スウェーデン国防資材庁)は2022年12月、グリペンのメーカーであるサーブとグリペンC/Dの能力向上改修契約を締結しています。

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スウェーデン空軍が60機の導入を計画しているグリペンE(画像:サーブ)。

 スウェーデン政府はグリペンEと交代する形で、同国空軍が運用しているグリペンC/Dの全機退役を決めていましたが、スウェーデンにとって最大の仮想敵国であるロシアの脅威が増大したことから、グリペンC/Dの全機退役を取りやめ、大幅な能力向上改修を施して2035年ごろまで運用すると発表していました。

【だから「グリペン」の方がイイ!】グリペンとウクライナ機のコックピット(写真)

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