「ゲーム」が「軍用」に下剋上! フライトシミュレーター止まらぬ進化 空軍が訓練に採用するもっともな理由

新技術の採用でシミュレーターは高画質・コンパクト化へ

 その後、RAZBAM Simulationsはフランス空軍での実績が評価されたことで、一般向けタイトルの制作を進めながら、実際の軍での訓練目的にしたフライトシミュレーターの開発にも関わり続けています。

 最近では、チェコのVrgineers(ブイアールジニアーズ)社と協力して、F-15E「ストライクイーグル」戦闘機の訓練用フライトシミュレーターを開発しています。

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フランス空軍で使われていたミラージュ2000Cの訓練用フライトシミュレーター。訓練を受けているパイロットがヘッド・マウント・ディスプレイを装着している(RAZBAM Simulations提供)。

 このシミュレーターの特徴は、映像出力を従来型のドーム型のプロジェクターではなく、最新のVR技術を用いた8K解像度の超高画質ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)で再現している点です。

 HMDを採用したことで、シミュレーター機器を小さく低コストにするだけでなく、装着した映像は操縦者の頭の動きに合わせることが可能になり、これによりシミュレーター内の視点移動まで再現できるようになった点が特徴です。これにより、コンピューターグラフィックスで再現されたコックピットで、実際に座って操縦しているような疑似体験ができるそうです。

 VRゴーグルの採用で、また一段とリアル度が増したフライトシミュレーター。冒頭に記したように「東京ゲームショウ2023」では、RAZBAM Simulationsの日本法人であるRAZBAM JAPANがブースを出展しています。同社の一般販売用タイトルの「DCS:F-15E」とVrgineersの訓練シミュレーターを組み合わせた機器を展示するそうなので、プロレベルのフライトシミュレーター環境を試してみたいのであれば、会場に足を運んでみてもよいかもしれません。

【了】

【あ…これプロ用なの】「ゲーム」にしか見えない軍も使うフライトシミュレーター(写真)

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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