もはや“海のショッピングモール”? 海自「補給艦」20年ぶり新造のワケ 油&貨物に車両運搬・病院も
日本版「空母打撃群」の随伴艦となるか
肝心の建造ヤードについては、2023年9月現在、日本で自衛隊向け艦艇の新造能力を持つ企業は三菱重工業、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)、川崎重工業の3社のみ。このうち、川崎重工業は潜水艦の建造のみに特化しているため、水上艦の建造を手掛けるのは前2社のみという状況です。
補給艦については、かつて三井造船玉野事業所(現・三菱重工マリタイムシステムズ玉野本社工場)が「ましゅう」を、ユニバーサル造船(現・JMU)舞鶴事業所が「おうみ」を建造した実績があるため、三菱重工もJMUも受注する可能性があります。
なお、とわだ型補給艦は3隻すべてが置き換えられると思われるほか、防衛力整備計画では補給艦の増勢も掲げられているため、ひょっとしたら4番艦が建造されるかもしれません。
昨今、海上自衛隊ではヘリコプター搭載護衛艦である「いずも」「かが」の事実上の空母改装が進められています。この2隻の改装が終わり、艦載機として航空自衛隊にF-35Bが配備された暁には、汎用護衛艦や対空ミサイル搭載護衛艦(イージス艦)などとともに「日本版空母打撃群」が編成されると思われます。そのとき、同艦船群に随伴する補給艦となるのが、この新型補給艦であることは間違いないでしょう。
冒頭に記したように就役は2028年の予定。どんな外観・性能で造られるのか、付与される艦名とともに、今から楽しみです。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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