「最後に引き金を引く人間」がジャマになる時代 ロボ兵器vsロボ兵器 揺れる意思決定のあり方

「人間の存在」はむしろリスクに?

 SHORADの砲塔を搭載すると、ストライカー装甲車IM-SHORADが重さ20t、ボクサー装甲車搭載のスカイレンジャーだと40t近くになってしまいますが、無人車に搭載すれば約10tに抑えられ、小型化されて小部隊の援護など運用の柔軟性が得られます。

 このSHORAD無人車が戦場に投入されれば、陸と空のロボット同士が対峙することになります。武器使用の決心は人間の専権と紹介しましたが、相手がロボットであることが明らかな場合、「人間に危害を加えるのはあくまで人間でなければならない」という規範は当てはまりません。AIに学習させて、相手がロボットと判定できる場合に限り武器使用させることは、技術的に可能です。

 戦場では一瞬の判断が勝敗を決しますが、ロボットの意思決定ループに人間が介在すれば行動が遅れます。LAWSなら人間を排除してループを短縮できるので有利になります。

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SHORADを無人車搭載すればコンパクト化が可能になる。ボクサーなど装甲車にも搭載できるが、重さは3倍以上になる(画像:ラインメタル)。

 そうしたリスクを負ってまで、戦場に人間が存在する最大の理由は道義的な規範にあって、人間の「業(ごう)」といえるかもしれません。LAWSの規制は議論されているものの各国の思惑は様々で、LAWSは投入された時点で「人間が武器使用を決心した」とする解釈も可能です。

 人間の「業」までロボットに代行させるのは道義的にも問題ありと思いますが、ロボット同士の戦争なら規範は必要ないということにはならないはずです。技術が規範を追い越し、戦争の形は変わり始めています。

【了】

【無人兵器の戦争に?】対「空のロボット」という地上ロボット

Writer: 月刊PANZER編集部

1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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1件のコメント

  1. 人間が乗っていないものを乗りものと呼べるのか?