一部区間復活の「大井川鐡道」闇夜に汽笛がこだまする 鉄道ファン向けの運行にしたワケは!?

台風による被災を乗り越え、大井川鐡道の不通区間が一部復旧しました。それを記念して「SLナイトトレイン」が特別運行。夜闇を抜け、汽笛と蒸気の音が鉄路に響いていきます。今回、2往復とも乗車し、その旅愁を堪能してきました。

この記事の目次

・鉄路復活の日の特別な「SLナイトトレイン」
・いよいよ「夜闇のSL鉄路」の雰囲気へ

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鉄路復活の日の特別な「SLナイトトレイン」

 2023年10月1日、大井川鐵道・新金谷駅のホームには「スハフ43 2+オハ35 559+オハフ33 469+E34電気機関車」の一団が停車し、そこに蒸気機関車「C10 8号機」がスハフ43の先頭へ連結しました。

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大井川鐡道の運転再開区間を走る蒸気機関車(2023年10月1日、吉永陽一撮影)。
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15時40分ごろ、C10 8号機が出庫してホームに停車中のスハフ43 2の先頭へ連結される。新金谷駅(2023年10月1日、吉永陽一撮影)。

 毎週末のように蒸気機関車を運転する大井川鐵道(以下、大鉄)の日常の光景ですが、今日はちょっと違います。時計の針は16時手前。いつものSL列車よりも遅い時間です。停車中の列車は、家山~川根温泉笹間渡間の運転再開を記念した「SLナイトトレイン」なのです。C10 8の区名札には“夜行列車”を表した星のマークが掲げられています。

 大井川鐵道本線は2022年9月の台風15号によって土砂流入などの被害を受け、一時期は金谷~千頭間全線が運休となりました。12月に金谷~家山間が復旧し、SL列車やトーマス号は運転再開されましたが、家山~千頭間は運休のまま代行バスで結んでいました。

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10月1日に家山~川根温泉笹間渡が運転再開となった(画像:大井川鐵道)。

 運休区間のうち、家山~川根温泉笹間渡間は比較的被害が小規模であり、大鉄の負担で復旧作業を行うことができたため、無事運転再開へと漕ぎ着けたのです。この区間のハイライトは茶畑と情緒ある木造駅舎の抜里駅、蒸気機関車のビュースポットである大井川第一橋梁。さらに川根温泉笹間渡駅の最寄りには大鉄の川根温泉ホテルがあり、コロナ禍と災害運休で打撃を受けた観光の復活が期待されています。

 “ポーッ!!”

 C10 8の汽笛が新金谷駅に響き渡り、蒸気と煙が高らかに上がります。16時10分。SLナイトトレインは約60名の乗客を乗せてゆっくりと発車しました。

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新金谷駅で発車を待つSLナイトトレインのオハ35 559(手前)とオハフ33 469。木造ホーム屋根との相性は抜群である(2023年10月1日、吉永陽一撮影)。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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