【空から撮った鉄道】新大阪を目指した阪急の痕跡 大阪球場跡のいま 木がぶち抜く高架駅 気になる鉄道スポットを紹介

大阪は2012年から断続的に空撮してきました。今まで撮影してきた中で、実際に飛行してみて「こんな見方があるのか」「面白い場所だ」と感じた鉄道スポットを紹介します。

この記事の目次

・八尾~摂津で見た謎のトライアングル
・東京の大井に似た雰囲気「鳥飼車両基地」
・阪急新大阪連絡線の名残がくっきりと
・なんばにあった森の正体は…?

【画像枚数】全21点

八尾~摂津で見た謎のトライアングル

 私は1997(平成9)年、大阪芸術大学写真学科へ入学し、5年間ほど大阪暮らしをしていました。東京しか知らなかった身には、大阪の文化や生活全てが異文化であり新鮮でした。

 社会人になり、大阪や京都といった関西方面の空撮を始めたのは2012(平成24)年のこと。初めて大阪の空を飛んだときは、“大阪暮らし”の思い出が蘇ってきたものです。そういえば、あの場所は変な形のジャンクションだったとか、木が生えた高架駅はどうなっているのだろうとか、学生時代に不思議であった場所が上空からだと一目瞭然でした。今回は2023年までに実施した大阪空撮の中から、何か所か面白い場所を紹介します。

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手前の高い高架橋は近鉄大阪線の俊徳道駅で、右側の一段低い高架橋にJRおおさか東線のJR俊徳道駅がある。ウグイス色の103系が懐かしい。背後は近鉄奈良線の高架橋。俊徳道駅の高架化は近鉄が早く、おおさか東線前身の城東貨物線は盛土で、旅客化に際して高架構造となった。大阪線高架橋がビル5階相当の高さであったのは、城東貨物線高架化の計画があったからだろうか(2012年5月12日、吉永陽一撮影)。
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久宝寺駅方向から天王寺方面を見る。JR大和路線(関西本線)から分岐するデルタ線は城東貨物線時代からあるもので、手前側をおおさか東線が使用し、新加美駅がある。奥は百済貨物ターミナルへ向かう。新神駅左側にうっすらと建物群が曲線を描くが、これは阪和貨物線の廃線跡で、阪和線杉本町駅へ至った。久宝寺駅には竜華操車場があって、この一帯は貨物輸送で賑わっていた(2023年1月28日、吉永陽一撮影)。
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近鉄布施駅を遠望する。手前が奈良線で、左に分岐するのが大阪線だ。布施駅は多層式高架駅となっており、上段が奈良線、下段が大阪線のりばとなっている。布施駅から大阪上本町駅までは複々線となっている。こうした多層式構造は東京だと京急蒲田駅が挙げられ、阪急淡路駅もやがてこのようになる(2023年1月28日、吉永陽一撮影)。
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近鉄鶴橋駅を発車する電車と鶴橋の商店街。焼肉の街、コリアタウンと呼ばれる鶴橋は商店街が形成され、アーケードが縦横にある。それを上から見るとこのようにパッチワークっぽい屋根がびっしりと隙間なく並ぶ。まるでトタンの絨毯だ(2018年9月9日、吉永陽一撮影)。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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