【空から撮った鉄道】9年ぶりに全線復旧したJR常磐線 原発間近に“走る”列車再び

2020年3月14日、常磐線は富岡~浪江間が復旧し、東京から宮城まで全線で運行を再開しました。復旧後の空撮は2022年5月4日に実施。強風に悩まされながらの空撮をお伝えします。

この記事の目次

・撮影時期を合わせることで、過去と現在を比較してみる
・高高度ほど強い風に悩まされ…
・「あぁ、本当に列車が帰って来たのだな」
・あの助成踏切は今…

【画像枚数】全25点

撮影時期を合わせることで、過去と現在を比較してみる

 常磐線運休区間の空撮は2017年で一旦ストップし、次は復旧後に実施しようと考えていました。全線での運行再開は2020年。その年に空撮しようと計画をしたものの、コロナ禍や資金難により頓挫し、慌てるものではないと時期を伺っていました。

 結局、実施したのは2022年の5月4日です。初めて運休区間を空撮したのは2016(平成28)年5月6日でしたから、なるべく近い日を選びました。季節を合わせることで、比較になりやすいのではないかと思ったからです。

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福島臨海鉄道の小名浜駅。東日本大震災では津波被害に遭い、約600m西側へ移転した。この撮影時、貨物列車の発車を撮るか悩んだ(2022年5月4日、吉永陽一撮影)。

 5月4日は快晴予報で、視程も20kmと申し分ありませんでした。ただし南風が強く、北上時は追い風になるものの、南下時は向かい風となって速度が遅くなる懸念がありました。実際、その懸念は当たってしまい、準備したプランもずれていき、少々難ありのフライトとなりました。

高高度ほど強い風に悩まされ…

 最初に「むむ……」と悩んだ地点が小名浜上空でした。ちょうど福島臨海鉄道の貨物列車は荷役作業が済み、10分以内には発車する時刻。しかしここで出発シーンを撮ると、10時57分富岡発の特急「ひたち3号」が厳しくなり、せっかくのメインテーマである常磐線復活の空撮が意味を成しません。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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