「海外空港のJAL整備士」国内とは働き方が全然違う! かなりマルチ、いや総力戦なその実態
機種が変わるのも責任重大、でも「楽しい」とのこと
「確かにシアトル・タコマ空港は、ボーイング社の近くにあるのですが、ボーイング社からパーツを取り寄せるには折返し便出発の時間には間に合わないですし、飛行機のパーツは領収してからじゃないと装備できないなど制約が多いので、万が一の際には他社からお借りするなどの対応が一般的で、日本からパーツを送ってもらった方が早いときすらあります。とはいえ過去には、パイロットさんから『すぐ近くに工場あるでしょ!』と言われたことはありました(笑)」(JAL内村明洋さん)
また、先述の通り、現在のシアトル・タコマ国際空港では、787と767の2機種の乗り入れがある状態。内村整備長はともに整備できる資格を持つとはいえ、羽田や成田の格納庫のように、JALの整備士がたくさん作業にあたれる人員はありません。シアトル支店では内村整備長含めわずか2人のJAL整備士が中心となり、JAL便の安全運航を支えているのだとか。そのため、旅客機のタイプが変わると次のような準備が必要なのだそうです。
「767にタイプチェンジにされるにあたり、2~3か月くらい前からパーツを取り寄せたり、現地スタッフに対する教育を行ったりしました。また、システム自体が787と全く異なる飛行機であるため、もういちど767の整備作業の知識をブラッシュアップしたほか、最近起こる頻度の高い整備作業のトレンドを把握するなどの準備をしましたね」
そのような海外ゆえ、苦労も多そうなJALの整備士ですが、内村さんは「楽しく仕事をさせてもらっています」と話します。
「この1年間、毎日いろんなことが起こるなか、日本では『餅は餅屋』といったように、整備士というプロフェッショナルとして業務をしていましたが、人数が少ないシアトルでは私が客室の準備をすることもあります。空港メンバーが一丸となって飛行機を飛ばしているという実感があるんです。また、お客様との距離も近いのも、海外勤務の魅力ですね」
【了】
Writer: 松 稔生(航空ライター)
国内航空会社を中心に取材を続け、国内・海外を奔走する日々を送る。ゆとり世代。
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