米海軍機が載らない「海兵隊専用空母」なぜできた? 「どうせならずっと乗ってて海兵隊」と思ったかも 合理的なワケ
今から80年ほど前の第二次世界大戦中、海軍が主体の空母とは別に、アメリカ海兵隊が専用に使える空母がありました。「海兵隊専用空母」は、海兵隊と海軍の双方にメリットがあったそう。どういうことでしょうか。
陸海軍とは別に自前の飛行隊があった海兵隊
第二次世界大戦中、アメリカは大小約160隻もの空母を建造・運用していました。その中には、上陸作戦を主体とする海兵隊がメインで使う、いうなれば「海兵隊専用空母」のような性格の艦もあったといいます。それは、いったいどのような空母で、どんな役割を担っていたのでしょうか。
そもそもアメリカ海兵隊は、戦前すでに海軍や陸軍と同様に有力な「自前」の航空隊を保有していました。だからこそ大戦末期に、海兵隊の飛行隊だけを搭載した空母というのを用意し、実戦に投入することができたのです。ただ、なぜ海軍飛行隊ではなく、海兵隊飛行隊だけを載せた空母を生み出したのか、それにはいくつかの理由がありました。
アメリカ海兵隊は、もともと海軍の一部として誕生した歴史があります。そのため、独自に編成していた海兵隊航空隊が使用する航空機も、基本は海軍機がほとんどで、海兵隊での運用に向くように一部改修された機体もあったものの、多くは空母で運用可能な艦上機でした。こういった経緯から、海兵隊飛行隊のパイロットは訓練の一環として空母での発着艦も学んでいました。
海兵隊飛行隊は、陸上基地、すなわち飛行場での運用をメインとしましたが、海兵隊の地上部隊が上陸した敵地に新たな航空基地を設営した際などは、最寄りの海域まで空母に載せて運び、沿岸まで来たら発艦して自力でその基地に展開するという運用が行われていました。
米国の陸軍とは、自国を防衛する部隊であり、それぞれの州兵もこれに該当。そして海兵隊とは敵国に上陸して戦う部隊