私鉄っぽい? JR四国だけ“4ケタ車両形式”なぜ独特なのか 国鉄のルールを捨てたワケ
民営化後に国鉄式の形式!?
では、JR四国の4桁の番号には意味があるのでしょうか。千の位を見ると、それぞれ次のように分類されています
1000:一般型気動車
2000:特急形気動車
5000~7000:一般型電車
8000:特急形電車
※車両に大幅な改造が加わった場合は元の形式に200を加える
さらに、百の位で系列や運転台・トイレの有無、改造車かどうかなどを区分けしています。JR四国は2000系の登場を機に、自社の企業規模に合わせて整理しやすい車番に改定した、ということになるでしょう。
さて、4桁の形式に切り替えたJR四国ですが、実は2形式だけJR四国になってから「国鉄式の形式」で新造された車両が存在します。
そのひとつがキハ185系です。もともとは国鉄末期の1986(昭和61)年に登場した特急形の気動車ですが、JR四国になってからも瀬戸大橋開業などで利用客が増加したため、国鉄時代の仕様のまま製造を続けていました。ただ、キハ185系は2000系登場前から製造されていた車両なので、国鉄時代の形式を踏襲していても不思議ではありません。
しかし、トロッコ列車として使われるキクハ32形は、最初の1両が1997(平成9)年製造です。2000系どころか6000系や8000系など、JR四国の主要な車両が一通り出揃った時期に製造されているにもかかわらず、国鉄式の形式で登場しています。
これは、キクハ32形が車体の大きさや台車など、国鉄キハ32形気動車のシステムと類似していることから、キハ32形の一系列として製造されたためです。しかし、キクハ32形自体はキハ32形とは連結されず、専らキハ185形と連結して運行されている点もまたユニークです。
JR四国を除くJR6社は現在でも、国鉄式の形式を基本としていますが、JR東日本はE1系新幹線電車から、形式の頭に「東日本(East)」を表す「E」を付けるようになったり、JR九州のYC1系やJR東日本のEV-E801系のように、国鉄時代の区分が存在しないハイブリッド車や蓄電池車には、独自の付番を行ったりする例もあります。
今後JR四国以外にも、独自の形式を付ける車両が現れる可能性もゼロではありません。
【了】
Writer: 児山 計(鉄道ライター)
出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。
新幹線の試作車は4ケタだった。そのうち新幹線の形式で4ケタが復活するかも(E10系〜)。