年1日だけ!「新幹線指令所の大引っ越し」とは!? 大阪にある「第2の中枢部」の出番がやってきた日
東海道・山陽新幹線の運行を集中管理する「総合指令所」が、年に1日だけ大阪の「第2総合指令所」へバトンタッチします。普段とは違う指令体制ですが、現場では慣れた様子で新幹線の運行指令が行われていました。
生きている現場 常に「何かが起こる」
実際に新幹線を指令している様子を目にできたのは、わずか30分程度。しかし、その30分でも「淡々と新幹線を監視して無事終わる」ことは全くなく、常に指令と現場とのあいだで、迅速で臨機応変の判断がおこなわれ続けていました。
取材開始時には、すでに一部区間で運転時の注意点が現場とで共有されていました。その後数分経ったとき、「新大阪駅で△番列車が発車直後、非常ブザーが取り扱われて緊急停車した模様です」の一報が入ります。一気にざわつく指令所。ダイヤ通りに運行することができなくなり、周囲の列車にも影響が波及します。この瞬間から各列車をどうすればいいのか。秒単位の判断が求められることになります。
そもそも何の情報があって、何の情報が必要なのか。その情報を元にどう判断すればいいのか。1人ではとっさに対応できないことでも、チームが互いに補い合って、判断の手助けをしていきます。
運転再開までに大事なのは現場の安全確保。「誰がブザーを押したの?」「何が起きてブザーを押すことになったの?」「列車はどの位置で停まってるの?」という複数の声が上がり、現場と通話中の受話器を持った指令員が、「わかった」とばかりに手を上げます。
ここで現場の状況把握を担当するのが、駅や各列車の乗務員と連携を取る「輸送旅客指令」です。指令室の中でも指令の種類で島が分かれていて、島と島で声が飛び交います。それと並行して、「□番列車は〇駅停車中」「×番列車は…」と、周囲の状況が刻一刻と共有されます。
現場の様子は手元の画面だけでなく、正面に広がる巨大な「総合表示板」にも表示されます。列車がどこにいるのか、線路の分岐器がどちら側にスイッチしているのかなどが一目でわかります。
総合表示板の前では、指令員が紙にマジックで、問題の起きた列車の番号と状況などを書き込み、表示板へ貼り付けます。状況が分かり次第、マジックの書き込みが増えていきます。
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