「ゴジラ」引き立てる“やられ役”? 陸自の最多出演戦車とは 段々ガチになっていった自衛隊の協力体制
制式化の前にスクリーンデビューした戦車は?
次いで多いのは74式戦車です。その出演回数は9回で、自衛隊での在籍期間の長さを活かす形で多くのゴジラ映画にて「活躍」しています。しかし、61式戦車よりも登場回数が少ないのは、ちょうど74式戦車が登場した頃にゴジラ映画が低迷し、新作が作られなくなっていたことが大きく影響したといえるでしょう。
第3位は90式戦車になります。特筆すべきはその初出で、1989年公開の第17作『ゴジラ対ビオランテ』であること。なんと90式戦車は制式化の前に映画デビューしていました。ちなみに、2016年に公開された第29作『シン・ゴジラ』でも、まだ部隊配備もされていない16式機動戦闘車の試作車が10式戦車とともに登場しています。
なお、ゴジラシリーズをひと通り見て、筆者(凪破真名:歴史ライター・編集)が感じたのは、最初の頃は踏みつぶされたり熱線に吹き飛ばされたりするだけだった自衛隊の戦車が、回数を重ねるごとに、自衛隊の運用理念や作戦行動が垣間見えるほどに統率の取れるようになっていたというのがあります。
これは、『ゴジラ対ビオランテ』以降、防衛庁ならびに自衛隊が、イメージアップを含めたPRのために本格的に協力するようになり、戦車部隊についても実車を含め現役隊員たちの姿がスクリーンに登場するようになったからだといえるでしょう。一説によると、実際に対ゴジラ戦の研究が行われたこともあるといいます。
最新作の第30作『ゴジラ-1.0』では、自衛隊ではなく旧日本軍の四式中戦車が登場します。旧日本軍の戦車がゴジラシリーズに登場したのは、初めてではないでしょうか。今後の「ゴジラ」映画では、16式機動戦闘車を始めとした新装備が登場するのか、はたまた旧軍戦車の登場が再びあるのか、今から楽しみです。
【了】
Writer: 凪破真名(歴史ライター・編集)
なぎはまな。歴史は古代から近現代まで広く深く。2019年現在はフリー編集者として、某雑誌の軍事部門で編集・ライティングの日々。趣味は自衛隊の基地・駐屯地めぐりとアナログゲーム。
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