日本製ミサイル“輸出”へ 元々アメリカ製 わざわざパトリオットPAC-3弾をなぜ“逆輸入”するのか
なぜパトリオットミサイルなのか?
では、なぜ「パトリオット」がそれほど注目されているかですが、それは同ミサイルが防空兵器としてはかなり性能が優れているからです。
現在ウクライナは、同ミサイルの発射用ランチャーや移動用の車両などを合わせた「パトリオット」ミサイルシステムをアメリカから1基、ドイツから2基、オランダから1基供与しています。
供与された「パトリオット」は首都のキーウなど、重要拠点を守るために使用されており、2023年5月13日に使用された際、ロシアのブリャンスク州上空で、攻撃機のSu-34、マルチロール機のSu-35、電子戦ヘリコプターのMi-8MTPR-1、Mi-8輸送ヘリコプター2機の計5機を5分以内に撃墜し、ロシア軍はしばらく同地や黒海上空での航空機での軍事行動を控えたこともあります。
この結果は大きなもので、ウクライナ空軍のユリイ・イフナト報道官は「彼らは撃墜される可能性があることを理解し、しばらく飛行を控えました。パトリオットシステムはそのような機会を提供しています」と評しました。
また、5月16日のキーウへのミサイル攻撃では、ロシアがマッハ5以上の速度を持つ極超音速ミサイルであると主張するKh-47M2「キンジャール」の複数発の撃墜に成功しています。この際は、PAC-3の低コスト生産仕様であるPAC-3CRIが使用された可能性があります。
そのため、同ミサイルシステムが発射するミサイルの枯渇は、そのままキーウ上空の防空能力の大幅低下につながります。ウクライナのゼレンスキー大統領は、12月のバイデン大統領との会談でも防空火器の枯渇を訴えており、日本の生産するPAC-3が大きな重みを持ち始めています。
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Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)
ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。
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