自転車だって“走る凶器”認定? ケータイ「ながら運転」道交法で規定へ クルマと同じ厳罰に!
警察庁が検討する新たな自転車の交通ルールにおいて、運転中の携帯電話使用への対応が強化される見込みです。道路交通法で自転車運転中の携帯電話使用について、クルマと同様に規定することにより、その意味合いは大きく変わってきます。
携帯電話のながら運転 全国一律違反に
警察庁が開催する有識者検討会で「良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する中間報告書」(以下、中間報告書)が作成され、2023年12月21日に国家公安委員会へ提出されました。反則金制度が導入されるなど、自転車の新たな交通ルールの概要が明らかになりました。
このなかで、酒気帯び運転と同様に、いわゆる“赤切符”の対象とすべきと指摘されたのが、自転車運転中の携帯電話使用(交通の危険を生じさせた場合)です。
運転中の携帯電話の使用は、四輪車やバイクでは厳しく禁じられています。しかし、自転車の運転での使用は、都道府県の公安委員会規則で定められているだけでした。例えば――
《自転車を運転するときは、携帯電話用装置を手で保持して通話し、又は画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと/東京都道路交通規則 第8条》
《携帯電話用装置を手で保持して通話し、又は画像表示用装置を手で保持してこれに表示された画像を注視しながら自転車を運転しないこと/大阪府道路交通規則 第13条》
条文の内容はほぼ同じで、こうした規則が全国で整備されているので、実質は法律と同じ効力を持っていました。では、なぜ青切符ではなく、赤切符の対象とされたのか。中間報告書には、こうあります。
「道路交通法上、自転車運転中に携帯電話等の無線通話装置を通話のために使用することや、スマートフォン等の画像表示用装置に表示された画像を注視することを禁止する規定が整備されておらず(略)現状、都道府県ごとに禁止される行為の様態が異なっている」
道路交通法で定めることは、内容を全国一律とすることだけではありません。交通規則で定めた場合、罰金の上限は5万円です。道路交通法で定めることにより、罰金の上限が引き上げられます。
自転車運転中の携帯電話の使用は、フードデリバリー事業でも拡大し、起因する自転車の交通事故件数が増加傾向です。「スマートフォン等のモバイル端末の普及が進む中、自転車運転中の携帯電話使用等に起因する交通事故を抑止する方策について検討する必要がある」と、報告書は指摘しています。
警察庁は報告書を受けて、自転車に乗っている時の携帯電話使用について、基本は青切符で、携帯電話を使用して歩行者の通行を妨げるなど、交通の危険を生じさせた場合には赤切符で対応する方針です。今まで赤切符だった自転車運転の違反に、自動車のような反則金制度、いわゆる“青切符”が導入される反面、自転車運転中の携帯電話の使用、酒気帯び運転、他の交通を妨げる妨害運転には赤切符を残し、より重い罰則にする方向性が見えます。
【了】
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
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