ハンパない威圧感…完全防弾の「移動要塞」「自走する壁」車両 一体何に使う? 切実な社会問題が背景に

クロアチア生まれの無人車両メーカーが開発

「MV-3 ヒュストリクス」は全長4.7m、全幅2.5m、全高3.45m、重量は6.8t。ペイロード(積載量)は700kgで、最大積載人数は8名、作戦時の移動速度は8 km/hです。

 MV-3を正面から見た姿は、まさに「壁」そのもの。横から見ると履帯式の車体に「壁」が固定されていることがわかります。筆者は実物を見て、「まるで中世の攻城兵器のようだ」と感じました。

 ヨーロッパでは、歴史的に城を巡る戦いが数多く行われてきましたが、この車両にはそうしたヨーロッパ的攻城兵器の発想が感じられます。

 正面に取り付けられた「壁」はもちろん防弾であり、徹甲弾を含めて現存するほぼすべてのライフル弾を喰い止めます。ぶ厚い防弾ガラスがはめ込まれた窓には、ガンポート(銃眼)が付属しており射撃が可能です。

 正面中央には「バッティング・ラム」(破城槌)と呼ばれるツノのような円柱状の突起物を装着でき、トビラや壁を破壊して前進することもできます。このあたりは、まさに攻城兵器そのものです。上段と中段には複数のハイパワー・ライトおよびレーザー照射機が設けられ、これらを使うことで視界の確保はもちろん、犯罪者への威嚇や目くらましを行えます。

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MV-3「ヒュストリクス」の全体像。まさに動く「壁」である(画像:DOK-ING)。

 一方、「壁」の裏側はどうなっているかというと、中央には大型のLCDモニターが設置されています。実は正面に防弾ガラスで保護されたCCDカメラが9個あり、その映像をここで見ることができます。カメラ以外にも各種センサーが装備されており、もしテロリストが毒ガスなどを使用した場合でも、CBRN(生物・化学・放射性物質・核)センサーや酸素レベルセンサーで状況把握が可能です。

 車体後部は任務にあわせて交換できるアタッチメント構造になっており、展示車両では携行用の防弾シールドのキャリアーが付属していました。なお、展示ブースにいたセールス・レップの説明によると、負傷者後送(CASEVAC)用のセットアップを組んでおくのが一般的だとのことでした。

 ちなみに、履帯式の車体はリモート操作も可能で、最大500m離れた位置からでも操縦できるそうです。

【こりゃ壁だわ!】移動要塞MV-3「ヒュストリクス」裏側はこんな感じです(写真)

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