ハンパない威圧感…完全防弾の「移動要塞」「自走する壁」車両 一体何に使う? 切実な社会問題が背景に

軍用ライフル弾にも耐える完全防弾の「移動要塞」を、ヨーロッパの防衛装備見本市で見つけました。装甲車などと異なり、まさに「走る壁」といった趣きですが、どう使うのでしょうか。

日本だって他人事じゃない! 重武装事件の可能性

 では、実際に使用する場合はどのようなケースが想定されるのでしょうか。

 例えば、ショッピング・モールでアクティブ・シューター事件が発生したと仮定しましょう。相手は5.56mm口径の軍用アサルトライフルで武装しており、うかつに近づくことはできません。なぜなら、防弾ベストやヘルメットが守ってくれる範囲はごくわずかで、四肢や腰、顔面などを撃たれれば、無事ではすまないからです。しかし、MV-3があれば状況は一変します。

 アクティブ・シューター事件を例に挙げましたが、ローン・オフェンダー(ローン・ウルフ)型の個人犯による無差別テロ事件の増加も、MV-3開発の背景にあることは間違いないでしょう。また、1997年にカリフォルニア州ノース・ハリウッドで発生した重武装での銀行強盗事件のような武装強盗対策にも有効です。

Large 20231230 01
MV-3の後部に設けられた突入用の防弾盾を収納するラック。この部分はアタッチメント式になっており、異なる機能の装備を連結させることも可能だそう(飯柴智亮撮影)。

 見た目に威圧感があり、とても仰々しい装備ですが、欧米の大都市圏の警察組織には必要な装備でしょう。日本も安全とは言えません。オリンピックや万博、サミットなど、国際的なイベントは、テロリストにとって格好のターゲットとなるからです。

 また、こうした車両を事前に目に見える形で用意しておけば、テロリストを始めとした凶悪犯に対し、心理的に優位性を保つことができます。

 本来、装備品とはそういうものです。もちろん、MV-3が必要とされるようなシチュエーションは発生しないにこしたことはないのですが、この車両があることで防げる、または事態拡大を抑止できるなら、充分に価値はあると筆者(飯柴智亮:元アメリカ陸軍将校)は考えています。

 視覚的な抑止力を期待できるという点でも、MV-3は有効だと言えるのではないでしょうか。

【了】

【こりゃ壁だわ!】移動要塞MV-3「ヒュストリクス」裏側はこんな感じです(写真)

Writer:

東京都出身。州立北ミシガン大学在学時に米陸軍予備役士官訓練部隊(ROTC)で訓練を受ける。1999年、米陸軍入隊。第82空挺師団に所属しOEF(不屈の自由作戦)に出征。2005年、少尉任官。ストライカー旅団などで勤務。2009年除隊。国際政治学修士。極真空手初段。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. イラン海軍の潜水艦が「撃破される瞬間」捉えた映像が公開 3隻の無人ボートが基地を急襲 “米軍史上初”の攻撃
  2. ロシア軍の攻撃ヘリが「飛行中に急襲される瞬間」捉えた映像が公開 背後から「刺客」が忍び寄る
  3. 首都高の「高級外車」がトンネル内で大炎上! “火だるまになる”恐怖の一部始終を捉えた映像が公開 ドライバーに批判も
  4. 海自の最速艦艇が「主砲を撃ちまくる」珍しい映像が公開 最高速力は80km/h以上! 対空戦能力を披露
  5. 惨劇なぜ? 旅客機の客室窓が“上空で木っ端みじん” 「乗客の体が吸い出された」戦慄の様子が公開される
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  3. 海自の潜水艦が発射した魚雷が「揚陸艦へ突進」 雷跡を上空から捉えた珍しい写真が公開される
  4. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号