羽田衝突事故 JAL機の「奇跡の18分」なぜ実現? 燃える“満席の大型機”から全員生還…その経緯

羽田空港で起こったJAL機と海上保安庁の固定翼機との衝突事故。JAL機では乗客乗員379人全員が18分で脱出しました。海外メディアも注目した「奇跡の18分」は、どう実現したのでしょうか。

脱出ドアは3つだけ&ほぼ満席…でも全員生還

 2024年1月2日17時47分頃、JAL(日本航空)の新千歳発羽田行きJL516便が、羽田空港第2ターミナル前のC滑走路で海上保安庁の飛行機と衝突し、炎上しました。衝突後のJAL機はみるみる火がまわり大破しましたが、この機の乗客367人、乗員12人の計379人は、18時5分に全員が脱出しています。

 損壊状況から見て犠牲者が多数出ても全く不思議ではなさそうな状況下、今回同機の乗員・乗客が“全員生還”を遂げたことについて、海外メディアでは同機の搭乗していた乗員の行動に対し「奇跡」「信じられない」などとも報じられました。この“奇跡の18分”実現の要因には、どのようなものがあったのでしょうか。

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JALのエアバスA350-900(乗りものニュース編集部撮影)。

 JL516便に使用されたのは、JALの国内幹線向け主力機「エアバスA350-900」。この機の客席数は369です。発表された乗客数からすると、ほとんど満席の状況であったことがわかります。

 さらにこの機体は左右に各4つ、計8か所にドアがあり、地上での緊急脱出時には、これらのドアから「脱出用スライド(すべり台)」が出て、乗客はそこから滑り降りる形態をとっています。旅客機では実用化に不可欠な「型式証明」取得の際、「機内の半分の脱出ドアを使用して、乗客・乗員全員が90秒以内に機内から脱出できる」という、いわゆる「90秒ルール」があり、機体はそれに基づいて設計されます。

 しかし、以下のJALの報道発表によると、同便は満席であるだけでなく、「脱出ドアの半数以上が使用不可」という状況だったことがわかります。

「脱出時に機内のアナウンスシステムが不作動となったため、客室乗務員がメガホンと肉声でご案内を実施した。安全に脱出できる出口を客室乗務員が判断し、3箇所の非常脱出口から乗客乗員全員が脱出した」(JALの広報発表資料より)

 この状況下で全員脱出を達成したプロセスについて、JALが3日夕刻に記者会見を実施。同社の幹部の一人は「非常ドアの操作などの緊急脱出訓練は全乗務員が年に1回、丸1日かけて行い、ブラッシュアップしています。個人的には、その結果が出たのではないかと考えています」とコメントしています。

 そしてJALの経営陣は、事故機から乗客が脱出するまでのプロセスについて、以下のように説明しています。

【現場写真】JAL機と海保機の「衝突事故」現場、実際の様子

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