目標はアメリカ本土… 潜水艦でどう攻撃? 軽巡並みの大きさを誇った「伊400」

水上攻撃機には星条旗を描き偽装

 竣工したのは1944(昭和19)年12月末。すでに日本本土への空襲は激しさを増し、物資や燃料も欠乏するなど、戦局は悪化の一途をたどっていました。アメリカ本土攻撃も変更を余儀なくされ、さらに1945(昭和20)年5月に同盟国ドイツが降伏すると、大西洋方面からの米英艦隊の移動を阻止すべくパナマ運河攻撃が企図されます。しかし効果が薄いと再度変更されました。

 最終的には、アメリカ空母艦隊の停泊地であったウルシー環礁(現・ミクロネシア連邦)が攻撃目標となりました。「伊400」は同型艦「伊401」とともに7月末、青森県の大湊を出撃します。水上攻撃機を特攻作戦として使用する計画で、偽装のため機体にはアメリカ国籍を示す星条旗が施されました。攻撃予定日は8月17日でした。

 しかし周知の通り、その2日前の8月15日に日本は無条件降伏します。攻撃は中止され、「伊400」「伊401」は日本へ帰還することになりました。偽装までした水上攻撃機も実戦投入されることなく、海中投棄されました。

 その帰路2隻は三陸沖で、アメリカ軍の駆逐艦と潜水艦に拿捕されます。その際アメリカ軍兵士はその大きさと、潜水艦に航空機を搭載するという発想に、たいそう驚いたといいます。2隻は1946(昭和21)年1月にアメリカ本土で技術調査されると、その後ハワイ近海で標的艦とされ撃沈処分されました。

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「伊401」(左)と「伊14」(画像:アメリカ海軍)。

 もともと伊400型は計画時、計18隻が建造される予定でした。ところが結果的には戦局の悪化から、「伊400」「伊401」「伊402」の3隻が完成したのみでした。

【了】

【写真】水上機3機が入るとは… 「伊400」の格納庫を見る

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