紅海通ればミサイルが…世界の物流「スエズ運河回避」の深刻さ 日本にも影響ジワリ

世界の物流を担う貨物船が、スエズ運河を回避し、アフリカの喜望峰へと軒並み大迂回しています。商船がミサイルなどで狙われる事態となっている紅海周辺の治安悪化、その影響は、どれほど大きいのでしょうか。

じわり物価に影響か 燃料価格への懸念も

 スエズ運河経由から喜望峰経由への航路変更は各社の運航効率に影響し、航海日数が10日から14日余計にかかることになります。船舶が海上を航行する時間が長くなるということは、燃料代など追加コストが発生します。

 さらに紅海での運航を前提としていたスケジュールが崩れ、メガコンテナ船が寄港するコンテナターミナルでは混雑がさらに悪化すると予想されます。トランジットタイムが長期化する中で、必要な船舶の不足や、欧州~アジア間の海上貿易のスケジュールを維持するために船舶の追加を投入することが考えられ、コスト増に備えてMSCもマースクも割増料金の導入を明らかにしています。

 他方、太平洋と大西洋をつなぐ中米のパナマ運河も、渇水の影響で船舶の通航隻数を制限しており、各社は紅海の運航停止と合わせて調整に頭を悩ませているようです。

 この事態は日本にとっても無関係ではありません。海に囲まれた島国の日本は輸出入のほぼ100%を海上輸送が担っており、日本の船会社が実質保有する外航船は約2200隻で、船腹量(船の総トン数の合計)は世界第3位を誇っています。

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ONEのコンテナ船(画像:ONE)。

 このうち日本郵船は818隻、商船三井は818隻、川崎汽船は432隻と、このたび紅海での運航停止を決めた大手3社だけで2068隻を運航しています。3社のコンテナ事業を分離して誕生したオーシャンネットワークエクスプレス(ONE)のコンテナ船だけでなく、大手3社の自動車船やLNG(液化天然ガス)船なども紅海へ入らないため、国際間の取引を手掛ける企業や荷主への影響が出てくると考えられます。

 例えば日本は輸入する原油の9割を中東諸国に頼っていますが、積み出し港の一つであるサウジアラビアのヤンブーは紅海に面しており、フーシ派による攻撃のリスクにさらされています。海外報道によればヤンブーへ向かっていた日本郵船のVLCC(大型原油タンカー)「土佐」(30万2159重量トン)が運航をキャンセルしており、原油価格への影響が日本にも及びつつあります。

【了】

【こんなに狭いの!?】これが世界の貨物船の通り道「スエズ運河」の実態です(地図/写真)

Writer:

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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