「漕がなくていい自転車」という電動キックボードの対抗馬 日本初「座り乗り特定原付」シェアサービス登場 バスの代わりにも?
日本最大規模のシェアサイクルサービス「ハローサイクリング」が、フル電動の「電動サイクル」のシェアサービスを始めます。電動キックボードの課題を払拭する“座り乗り”の特定小型原付は普及するのでしょうか。
ペダル? はあるけど漕げない“自転車”
「漕がなくていい自転車」のシェアサービスが始まります。日本最大規模のシェアサイクルサービス「ハローサイクリング」を展開するソフトバンクグループのオープンストリート(東京都港区)は2024年1月24日(水)、フル電動の新しいモビリティ「電動サイクル」のシェアサービス開始について記者会見を行いました。サービスは1月30日から、千葉市とさいたま市を皮切りに展開されます。
この「電動サイクル」は、いわゆる“電動アシスト自転車”ではありません。自転車にあるペダルのようなものは付いていますが、固定式でチェーンもなく、人力で漕ぐことができないものです。「自転車のように座って走行できる電動サイクル」とうたわれています。
2023年7月に誕生した、原付と自転車の中間的な新区分「特定小型原付」に分類される乗りものです。特定小型原付は電動キックボードの区分と思われがちですが、必ずしもキックボードに限定したものではなく、2輪座り乗りタイプの「特定小型原付」のシェアリングサービスは、国内で初めてとのこと。
とはいえ、フル電動の走行しかできない時点で、従来であれば「バイク」といって差し支えないものです。それを「電動サイクル」とした意図について、オープンストリートの工藤智彰社長は次のように話します。
「メーカーとも議論を重ねましたが、表現が難しいカテゴリーです。シェアサイクルのなかで電動モビリティを展開するので、あえて『電動サイクル』としました。このモビリティ(特定小型原付)は『こういう交通ルールのものです』と合わせて周知していきます」
特定小型原付は、16歳以上であれば免許不要で乗ることができます。ヘルメット着用も任意です。最高時速は20km/hですが、最高6km/hのモードに切り替えることで歩道も走行が可能。停止中に手元のスイッチですぐにモードを切り替えられます。
しかし、特定小型原付の創設以降、利用が増えているという電動キックボードでもこのルールが周知されず、速いスピードのまま歩道を走る人も見かけるといいます。これについて工藤社長は、「ルールの誤解が早い段階で広まった」とし、「車道を走ってもらうことが大切。それゆえにバイクに近い車体にしている。カルチャーとして『歩道を走るものではない』ことを作っていきたい」と話しました。
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