三菱がどうしても「巨大ピックアップトラック」を日本投入したいワケ 価格も高めの「トライトン」

でも高い!

 もちろん、ハイラックスが優れている面もあります。そのひとつが後席のチップアップ機能です。後席の座面を跳ね上げることで、後席エリアをラゲッジスペースとして活用でき、高さのあるものやシートの上に置きにくいものなどを載せる際に便利です。また荷台の奥行も若干ですが、ハイラックスの方が長くなっています。

 そしてハイラックス最大の強みは、価格でしょう。トライトンのエントリー価格が498万800円に対して、ハイラックスのエントリー価格は407万2000円となっており、約91万円もの価格差があります。性能と機能ではトライトンが優勢ですが、より低予算でピックアップトラックを手に入れたいユーザーには、ハイラックスのほうが魅力的に感じるのは間違いありません。このため、トライトンの価格設定を疑問視する声があるのも確かです。

 打倒ハイラックスを掲げるには、せめてエントリーグレードは、同等の価格を目指すべきでしょう。しかし、その一見、強気と思える価格こそ、トライトンを日本に再投入する真の狙いが、柳の下の二匹目のドジョウを狙うことではない証明とも考えられるのです。

Large 240125 triton 02
トヨタも近く、ハイラックスの特別仕様車Z“Revo ROCCO Edition”を投入する(画像:トヨタ)。

三菱の看板を背負って立つのはどの車種か?

 現在の三菱自動車の主力は、「アウトランダーPHEV」や「デリカD:5」などの悪路走破性を意識したSUV系のモデルです。軽乗用車も、三菱らしさをデザインで表現した軽クロスオーバーワゴン「デリカミニ」が好評で、販売の牽引役となっています。

 そうした今の三菱の魅力を育んできたモデルといえば、パリダカなどのモータースポーツシーンでも活躍し、SUVとしても高い人気を誇った「パジェロ」でした。しかし、SUV市場の活性化とは裏腹に、古さも目立ったことから販売は低迷し、日本向けパジェロは2019年8月末で生産を終了。その後、海外向けも生産を終え、長年パジェロの製造を担ってきた会社である「パジェロ製造」も、その歴史に幕を下ろしました。三菱自動車は、ブランドの象徴を失う事態となったわけです。

 そこで新たなイメージリーダー役として、白羽の矢が立ったのが、新開発となるピックアップトラック「トライトン」だったのです。そのため三菱自動車もトライトンは「販売台数を追う車種としない」と明言しています。事実、先行受注を含めた2023年度内の販売目標台数は、1000台と控えめです。

【か、カッコいいぞ…】トライトンの内外装ほか(写真で見る)

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。