もはや国民車?「ジムニー」人気は一体何なのか そしてなぜ“イジりやすい”のか カスタム大流行のワケ
だからここま“イジられる”!
これらの特徴は、歴代ジムニーに共通すると共に、世間のクロカンモデルと共通するものでもあります。丸目ライトやシンプルなグリルデザインも同様で、これらにはしっかりとした視界を確保する光源とエンジン冷却性を高める大型グリルの両立が図られています。
海外では5ドアロングボディのジムニーも登場する一方、国内では3ドアのショートボディだけ。このため5ドア車の国内導入が熱望されていますが、3ドアショートボディであることにも、もちろん理由があります。もちろん、日本では、軽自動車規格をベースとしていることもありますが、それだけではありません。
利便性では5ドアのロングボディには劣るものの、ホイールベースが短い3ドアの方が、悪路走破性に優れているからです。このため、ジープ「ラングラー」やランドローバー「ディフェンダー」には今も3ドアモデルが設定されており、メルセデス・ベンツ「Gクラス」も元々は3ドアモデルが用意されていました。つまり、ジムニーは、クロカンのセオリーをしっかりと踏襲しているわけです。
その共通点の多さが、オートサロン会場で見かける「Gクラス風」カスタム車など、輸入クロカンのそっくりコスプレが得意である理由なのです。
そもそも歴代ジムニーは、道なき道を走るオフロード性能をより強化すべく、改造されることも多い車種でした。そのため、カスタマイズのし易さも意識されています。つまり、優れた“素材”であることも大切にされてきたクルマでもあるのです。こうした伝統的な機能を高めるカスタムと、SUVブームによるコスプレ的なカスタムという二つの要素を得たことで、カスタムカーとしてのジムニーの人気も高まっています。
最後に忘れてならないのが、ジムニーでしかたどり着けない場所があるといわれるほどの本格的な悪路走破性を備えた本物の“ギア”であることが、良い隠し味になっていること。本物が持つ迫力こそが、如何なるコスプレを施そうとも単に可愛いだけのクルマとならず、幅広い世代の人たちを惹きつけて止まないのでしょう。
【了】
Writer: 大音安弘(自動車ライター)
1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後、フリーランスになり、現在は自動車雑誌やウェブを中心に活動中。主な活動媒体に『ナビカーズ』『オートカーデジタル』『オープナーズ』『日経トレンディネット』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。
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