ウリは爆速! 米海軍が発注した異形の病院船「大きい・多数収容」をあえて捨てたワケ

日本も能登半島地震で苦い経験が

 ベセスダ級遠征医療船はアメリカ海軍が運用する新世代の病院船として、海上や沿岸部で病院規模の重症患者治療を提供できるため、人道支援や災害救援(HA/DR)、非戦闘員避難作戦(NEO)といった任務にも投入が可能です。

 加えて特殊作戦にも対応できる汎用性の高さを兼ね備えていることから、万一、アメリカ本土から遠く離れたアジアやアフリカなどの地域で不測の事態が起きた場合にも役立つのではないでしょうか。

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海上自衛隊の輸送艦「くにさき」(手前)と並走する病院船マーシー(画像:アメリカ海軍)。

 なお、日本でも大規模災害が発生した時には船舶が大いに活躍しています。実際、2024年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」では、防衛省がチャーターする民間フェリーの「はくおう」と「ナッチャンWorld」が被災地のひとつである七尾港に派遣されました。

「はくおう」では、陸上自衛隊と石川県が協同して休養施設を開設し、1月14日から七尾市の避難所にいる被災者の受け入れを始めています。

 ただ「はくおう」も「ナッチャンWorld」も水深の問題があり、きちんと岸壁が整備された港でなければ入港できません。今後も一時的な避難先や復旧の拠点として船舶の活用を広げていく場合、ベセスダ級のようにさまざまな港に入れる船も一つの選択肢として考えられるのではないでしょうか。

【了】

【かなり異形!】これが米海軍の爆速病院「ベセスダ」運用イメージです

Writer: 深水千翔(海事ライター)

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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