ウリは爆速! 米海軍が発注した異形の病院船「大きい・多数収容」をあえて捨てたワケ

アメリカ海軍が新型病院船の建造を決め、造船所に発注しました。ただ、従来の病院船とはかなり異なるコンセプトのものになる模様です。船体形状も明らかに異質なものですが、その形にしたのにはワケがありました。

速度70km/h以上で “現場” に駆け付け

 高速船の建造を手掛けるオーストラリアの造船企業、オースタルの米国子会社「オースタルUSA」が、アメリカ海軍からベセスダ級遠征医療船(EMS)3隻を受注しました。契約金額は総額8億6760億ドル(日本円で約1260億円)で、1番船「ベセスダ」の引き渡しは2026年12月を予定しています。

 ベセスダ級遠征医療船は、アメリカ海軍が掲げる分散型海上作戦(DMO)をサポートする双胴の病院船として計画されました。全長は110mで全幅は31.5m、喫水は4.6m。乗員数は医療関係者や航空要員まで含め223名です。

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ベセスダ級遠征医療船の原型となったスピアヘッド級遠征高速輸送艦。写真は6番艦「ブランズウィック」(柘植優介撮影撮影)。

 ベースは、アメリカ海軍が現在運用中のスピアヘッド級遠征高速輸送艦(EPF)で、40ノット(約74.1km/h)以上の高速を発揮できるのが特徴です。船体後部には、ヘリコプター甲板を備えており、そこにはティルトローター輸送機V-22「オスプレイ」はもちろん、アメリカ軍が運用する最大のヘリコプターCH-53K「キングスタリオン」も発着できるほか、格納庫も備えているため、UH-60「ブラックホーク」クラスの多用途ヘリコプターであれば搭載することも可能です。

 また、浅喫水船のため、大型船などでは着岸ができなかった水深制限のある港にも入港が可能で、その機動力を生かして前線に近い地域へ展開し、専門性を必要とする手術など、より高度な医療を船上で提供します。

 船内にはトリアージスペースが設けられているほか、ICU(集中治療室)や手術室、診察室、レントゲン室、輸血用血液の保管庫などを完備。歯科、メンタルヘルス、産婦人科、プライマリ・ケアもカバーします。搭載するヘリコプターと複合艇を組み合わせて、複数の負傷者の迅速な収容とその後の輸送、海上での人命救助を含む戦闘捜索救難など、作戦部隊を支援するために必要なあらゆる能力を備えているそうです。

【かなり異形!】これが米海軍の爆速病院「ベセスダ」運用イメージです

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