「なんちゃってライドシェアで終わらせるな」という“意見書”で揺さぶる 経済界vs国交省 まず実行と河野担当相
河野デジタル担当相「行政が考え抜いてやる手法は古い」
しかし、間下委員長は、対応の手ぬるさを指摘します。
「まったく海外と同じにする必要はないですが、(国交省の対応は)タクシーの規制緩和に過ぎず、無理があるんです。このままではタクシー会社が儲かるところでやるだけ、できないところではやらない。ライドシェア新法をちゃんと作らないと中途半端な形で終わる可能性がある。新法を成立させて、配車アプリを統一しないと全国的なライドシェアが機能しない」
規制改革委は、実現のスケジュールについても前倒しを求めています。
「この2月、3月から新法の検討をして、この秋の国会でこれを決めると。来年の4月から実現する。現状の対応から1年遅れでちゃんとしたライドシェアをやっていくことが必要だと考える。現状のままだと、なんちゃってライドシェアになってしまう可能性がたいへん高い」
意見書を受け取った河野太郎デジタル担当相は、配車アプリを使ったライドシェアを後押しします。
「移動の自由が制約されている地域が、全国津々浦々ある。これを解消するためにはなんでもいい。やれるものからどんどんやろう。いろいろな技術が出ているのに規制でサービスができないのはおかしい」
また、規制緩和の進捗の前倒しも求めました。
「今までは行政が考えに考え抜いて、これをやりますだったが、その手法はもう古くて、とりあえずできるものからやって月単位でもいいからやり方を変えようということでやっていきたい」
交通事故時の法的責任を運営管理主体に負わせることで、先行する海外ライドシェアとの違いを明確にするのが現時点での日本版ライドシェアの考え方です。一般ドライバーがパートタイムとはいえ、プロドライバーと同じ安心・安全を提供できるのか、という慎重論を打破することができるのか。規制改革議論の中身に注目です。
【了】
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
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