東京湾に来る!? 異形の「水素をつくる船」 とんでもない姿の「動くプラント」が“早期に実用化”できるワケ

商船三井が「水素をつくる船」の開発を進めています。巨大な筒状の“帆”を何本も甲板に林立させ、それで風をつかまえて運航や水素精製の動力に活用するというもの。極めて先端的な技術と思いきや、そうでもないようです。

カギを握る「身近な文具で使われる物質」

 ウインドハンターは、洋上で吹く風を用いてCO2を出さずにグリーン水素を作り、船内に貯めて陸上へと運ぶことから、動く洋上風力発電と水素生産設備が融合したハイブリッドプラントとも言える存在で、全く新しいコンセプトの船となります。

「帆をたくさんつければ、どんどんエネルギーが出てくるので、それを船にため込む。風の弱いときには貯めたエネルギーを使って船を動かす。要するに、化石燃料を一切使わないということになる」(大内氏)

 しかも、ウインドハンターは船内に乗組員を乗せない無人運航船です。風が強いところへ自ら向かい、風の力で航行しながら、水中のタービンを用いて発電し、海水から作った純水を電気分解することで水素を生産します。

 生産した水素はトルエンと化学反応させ、常温常圧の液体であるメチル・シクロヘキサン(MCH)として船内のタンクに貯蔵します。MCHは修正液の溶剤などで使用されている身近な物質で、取り扱いも容易という利点があります。液体状態では、水素ガスと比べると体積当たり500倍以上の水素を含んでいることから、効率よく水素を運ぶことができる“水素キャリア”として注目されているほか、マイナス253度にもなる極低温の液化水素を輸送するのに必要な冷却設備も必要としないため、コストも削減できるとされています。

 船内のMCH貯蔵タンクの容量が一定量を超えると、荷揚げに向けた準備を始め、港へ戻るための自動航行装置が起動。船の位置から寄港地までの風の状況を予測し、定時性を考慮して風エネルギーと推進プロペラを組み合わせたハイブリッド推進によって航路の最適化を図ります。ウインドハンターの情報は陸上側でも共有されており、同船が寄港に向けて動き出すと、港でもMCHの受け入れに向けた準備が行えるようにする構想です。

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ウインドチャレンジャー搭載の貨物船、松風丸。将来的には推進補助装置として複数取り付ける構想も(画像:商船三井)。

 航行の途中で風が弱まった場合は、自動制御で硬翼帆が下げられ、格納されていた推進プロペラによる航行に切り替えます。MCHの一部は、貯蔵タンクから機関室へと運ばれ、化学反応により水素とトルエンに分離。水素と燃料電池を組み合わせて推進プロペラを回転させることで推進力を生み出し、風がないときでも一定の船速を保持し、完全ゼロ・エミッション航行を実現していく予定です。

【なんじゃこりゃ!!】これが「水素をつくる船」の全容です(写真)

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