夢の「“爆速”水陸両用車」実現するか そもそも必要? 大金はたいたアメリカが日本に託すワケ

アメリカは旧式の水陸両用車の後継車として水陸両用戦闘車を計画していたものの、高コストなどを理由に2011年に中止しました。しかし日本に開発を託す形で、共同研究に参画しています。その思惑は何でしょうか。

必要なのは3000馬力 どう確保?

 ポイントのひとつは、水上から陸地に乗り上げる瞬間の駆動力の確保です。地面に乗り上げる上方向の駆動力と前進させる推力の両方のバランスが必要で、研究には実際のサンゴ礁を現地調査し、忠実に再現した模擬サンゴ礁まで用意して試験が繰り返されています。

 防衛装備庁は、地面に乗り上げる駆動力と水上の推進力を確保するには3000馬力級のエンジンが必要としています。これは90式戦車1500馬力の倍にもなる出力です。このエンジン開発の可否が「将来水陸両用技術」の行方を決めるといっても過言ではありません。

 日本は戦前からエンジンを国産しており、その性能と品質は国際的にも定評があります。10式戦車のエンジンは8気筒1200馬力、16式機動戦闘車のエンジンは4気筒570馬力ですが、この2つのエンジンの基本構造は同じで必要に応じて気筒数を変えています。ちなみに3000馬力を実現するためには12気筒にします。2ステージターボチャージャー装備で大柄になりますが、3000馬力級エンジンとしてはコンパクトで、船舶用の約7分の1のサイズに収まり、実現可能性は十分にあります。

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将来水陸両用技術の成否を握る3000馬力12気筒エンジンの模型(手前)。隣が10式戦車の8気筒1200馬力エンジン。基本構造は同じ(月刊PANZER編集部撮影)。

 アメリカはEFVに挑戦し、30億ドルを投入して失敗しました。代わりのACVはAAV-7の本当の後継ではなく「つなぎ役」で、本命は日本と共同開発している「将来水陸両用技術」(EFV改か?)と、3000馬力級のエンジン技術ではないかといわれています。

 2024年度は、世界に類を見ない無人水陸両用車の開発として206億円の予算が計上されており、水陸両用車技術の開発は進捗していることがうかがわれます。AAV-7の使用国は日米以外にも12か国あるので、開発に成功すれば海外市場も期待できるかもしれません。

【了】

水上もかっ飛び! 夢の遠征戦闘車のイメージ図

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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