夢の「“爆速”水陸両用車」実現するか そもそも必要? 大金はたいたアメリカが日本に託すワケ

海兵隊はACVに満足していない?

 装輪式のACVは、陸上では履帯式のEFVやAAV-7より高速で、維持コストも安く済みます。1両の価格も300~450万ドル(4億5000~6億7500万円)に抑えられています。ヘリコプターやティルトローター機など航空機の発達により上陸手段は多用化し、水陸両用車の必要性は薄れたともいわれますが、海兵隊はACVに満足しているとは思えません。

 そこで視線を向けているのは、日本です。

 日本も陸上自衛隊水陸機動団にAAV-7を配備していますが、防衛装備庁では「将来水陸両用技術」として水陸両用車の開発を独自に進めており、EFVの失敗を教訓にしてむやみに高速性は求めず、実現可能な技術の中で速度を追求しています。アメリカは共同研究に参画して、日本にEFVの夢を託した形です。

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EFVの代わりに採用されたACV(手前の装輪車)と、これまで配備されていたAAV-7(後ろの装軌車)(画像:Sgt.Takoune Norasingh,Public domain,via Wikimedia Commons)。

 日本がACVではなく水陸両用車を開発しているのには独自の事情があります。日本が水陸両用作戦を想定する南西諸島の多くはサンゴ礁に取り囲まれています。しかしAAV-7には、サンゴ礁を乗り越える能力はありませんので、上陸場所が限られ運用が制限されてしまうのです。そこで新しい水陸両用車には、このサンゴ礁を越える能力が必要です。

 ただ一口に水陸両用車といっても技術は難しいもの。船とクルマは別物であり、河川のような波のない水面をおっかなびっくり浮航するのではなく、波のある海上を高速航行しなければなりません。そしてこのような水陸両用車を造るノウハウは日本にありません。EFVにはなかったサンゴ礁というハードルもあります。「将来水陸両用技術」では、一つひとつ手探りで解決していくしかないのです。

水上もかっ飛び! 夢の遠征戦闘車のイメージ図

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