ロシア軍“ゴルフカート”まで戦場に投入か 「車両不足では?」の声 ウクライナ軍に集中砲火を浴びる
ロシア陸軍が通称「ゴルフカート」と呼ばれる中国製の車両を戦地で使用していたことが、ウクライナ前線部隊の投稿した動画で明らかになりました。あまりに貧弱な装備に「車両不足では」との声も出ています。
ウ軍「全てスクラップとして横たわっている」
ロシア陸軍が通称「ゴルフカート」と呼ばれる中国製の全地形対応車「デザートクロス1000-3」を使用していたことが2024年3月4日、ウクライナ軍の前線部隊が投稿した動画で明らかになりました。
この動画は、ウクライナ陸軍の第60独立機械化旅団が東部のドネツク州リマン近郊で、移動するロシア軍に対し自爆ドローンや爆弾による攻撃を行った際に撮影したもの。映像のなかで同車両の車列が発見され、前線に投入されていたことが明らかになりました。
同独立旅団は公式Facebookで映像を公開すると共に、「ロシア人は戦車、BMP、人的資源、さらには中国製『ゴルフカート』さえも使用した。逃げ切れなかったものは全てスクラップとして私たちの土地に横たわっている」と投稿しました。
「ゴルフカート」こと「デザートクロス1000-3」は、中国の山東オーデス工業で製造された全地形対応車 (ATV)で、主な任務は後方のパトロールや捜索救助任務となっています。歩兵用戦闘車両のBMP-1やBMP-2のように、装甲どころか、トップアタック対策用の屋根や防弾ガラスの窓すらなく、側面はドアもなくむき出しの状態で運転する車両です。
そのため、銃弾や砲弾が飛び交う前線向きのものではありませんが、ロシア軍はこの車両をT-90主力戦車やMT-LB汎用装軌装甲車両、BMP-2歩兵用戦闘車両などと一緒に前進させたようです。
この車両をめぐっては、ロシア国営メディアのタス通信が2023年11月10日に、ロシア陸軍が約540台保有しており、さらに1590台が追加納入される予定であると報じていました。
それに先立つ10月には、70年近く前の装甲車であるBTR-50が投入され撃破されたという報道もありました。このように、本来は後方で使用する車両や旧式車両が前線へ続々投入されている件に関して、ウクライナの国内メディアでは、装輪装甲車や歩兵用戦闘車両が戦闘による消耗で不足しているのではないかと指摘する声もあります。
また、同車両に乗っていた兵士たちは、なんの防御手段も持ち合わせていなかったことから、自爆ドローンや投下された爆弾に一方的に攻撃される結果となり、ロシア指導部のずさんさを批判するメディアもありました。
【了】
コメント