これぞ “沈黙の艦隊” ? 人呼んで「幽霊艦隊」&「骸骨乗組員」有事になったらゾロゾロ蘇る!?

世界最大の海軍力を誇るアメリカには、「幽霊艦隊」と呼ばれる一群が存在するとか。ハワイのパールハーバーにも配備されているそうですが、普段はまず話題になりません。しかも、戦争になると艦が「姿を消す」ようです。

幽霊艦隊のクルー「骸骨乗組員」って?

 これらの艦艇は、球状の防虫剤が語源となっている「モスボール」と称される保管処理が施されているのが普通です。具体的には、可動部分の腐食を防ぐため樹脂のカバーでシーリングしたり、腐食防止塗料を塗ったり、タンクなどの場合は不要な内容物を抜き取って不活性ガスを充填したりするとのこと。ほかにも、直流電流を利用した防錆処理などを行ない、電子機器類は取り外して別に保管し、CICや医務室など腐食や湿度に弱い区画については、不活性ガスの充填や密閉化などが行われることもあります。

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2000年12月、カリフォルニア州サスーン湾に係留された状態の「アメリカ海軍予備艦隊(NRF)」(画像:アメリカ海軍)。

 こうした「幽霊艦隊」に所属した艦でもっとも有名なのは、アイオワ級戦艦の4隻でしょう。第2次世界大戦後も朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争に参加。艦によってはモスボール化と現役復帰を繰り返しました。その間、1980年代初頭のレーガン政権時代には、ソ連(現ロシア)への対抗上、提唱された「600隻艦隊構想」に基づいて4隻揃って現役に復帰したうえ、近代化改修を施されて1990年代初頭まで現役で使われ続けています。

 その後、ソ連の脅威が低下したことで再び退役しますが、以降もしばらくのあいだ、再び「幽霊艦隊」の一員となっていました。

 なお、最近の艦船に目を転じてみると、2008年に就役したフリーダム級沿海域戦闘艦と2010年に就役したインディペンデンス級沿海域戦闘艦も、初期建造艦の一部に、退役後「幽霊艦隊」へと送り込まれた艦が出ています。

 ちなみに「幽霊艦隊」所属艦のなかでも短期復帰が可能な艦には、少数の乗組員が配置されることがあります。彼らは保管状態の点検や動作確認などを行うために配置されているのですが、「骸骨乗組員(Skeleton crew)」と呼ばれるのだとか。いかにも「幽霊艦隊」に相応しい通称といえるでしょう。

【了】

【見事にズラリ】これが “沈黙の艦隊” です! で、いつ動く?(写真)

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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