超異端「海上スレスレを爆速飛行」する航空機、実現できるの? 浮かんでは消えてきたコンセプト“現代版”が世に出てきた!
すっごい昔からあったのに…長年の課題とは
「エアフィッシュ」の異形ともいえる姿は、もちろん注目を集め、そのうえ、STエンジニアリングが「エアフィッシュ8」と呼ぶバージョンの機体について、トルコのスタートアップ企業が10機発注し、さらに10機のオプション購入へ基本合意したと発表がありました。
「エアフィッシュ8」は観光や民間輸送に使用されるということで、2人の乗組員と1000kgの貨物、または8人の乗客を載せることができるということです。さらには、米海兵隊も興味を示しているとの報道もショー期間中に流れていました。
ただし、「空飛ぶ魚」が大々的に普及するかは不確定な要素が存在します。
地面効果翼機には大きな弱点があります。飛行速度は船よりも格段に速いのですが、海面スレスレの“高度”は荒天で波が高いと危険が伴います。そのうえ、多くの船舶が行きかう場所ではその高速性が仇となり、他の船舶との衝突が懸念されるのです。
また、左右へ曲がる際も、翼の端が海面に接触する危険を避けるため、旋回半径も大きくなってしまいます。
いずれも地面効果翼機の利点の裏返しが弱点となっていることもあり、これこそが、長年コンセプトのみが語り継がれながらも、ときおり開発話が“ゾンビ”のように現れてきた背景でもあるのです。
しかし、現代でもHISが出資した米国企業やSTエンジニアリングのように取り組む企業を見ると、交通機関としての魅力はあることは間違いないでしょう。現代の技術が過去の“失敗の歴史”を塗り替えられるか、興味深く見守っていきたいものです。
【了】
Writer: 清水次郎(航空ライター)
飛行機好きが高じて、旅客機・自衛隊機の別を問わず寄稿を続ける。
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