どうなる「九州の玄関口」再開発が大揺れ “海外企業が撤退”さらに“鉄道遺構が出土” 門司港レトロに見合う姿になるのか

海外の投資会社、けっきょく撤退

 そして2019年11月、北九州市の公募型プロポーザルを通じて香港の投資会社「オデッセイ・アセット・マネジメント・リミテッド」が事業者に選ばれました。事業費は30億円で事業期間は30年以上を予定。2020年春頃には改修工事に入り、2021年夏頃に香港系のワーフホテルズが運営を行う100室規模のブティックホテルが開業するという計画でした。

 しかし2020年2月にオデッセイがホテル開発のために設立した特別目的会社(SPC)と市有財産使用貸借契約(無償)を締結して以降、事業を行う上で必要な修繕工事契約などが確認できない状態が続きます。北九州市は2023年に入り、事業の進捗が確認できる書類の提出を求める催告通知書を2回にわたって送りましたが、同年10月にオデッセイから「事業を断念する」との連絡が入りました。理由は「物価高騰などにより事業費が大幅に増加し、事業資金の調達の見込みが立たないため」としています。

 こうして旧JR九州本社ビルの活用事業は振り出しに戻り、2024年5月に事業者の再公募を始める予定です。

 並行してもう一つ、2019年度に始まった再開発事業が、門司区役所などの公共施設を門司港駅周辺に集約し2027年度の供用開始を目指す「門司港地域複合公共施設整備事業」です。

 これは、使い勝手が悪く老朽化が進んでいる門司市民会館、門司生涯学習センター、門司勤労青少年ホーム、門司図書館、旧国際友好記念図書館、門司区役所庁舎、港湾空港局庁舎を1つの建物にまとめることで、人口減少が進む中で運営費用などを削減しつつ利便性の向上とサービスの効率化を図るのが目的です。

 特に1930(昭和5)年に建てられた門司区役所は国の登録有形文化財となっているものの、傾斜地に立地している上に手狭でバリアフリーに対応しきれないといった課題があり、市民の多くが利用する区役所の移転は急務となっていました。

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レトロな街並みが残る門司港。左は旧大阪商船ビル。かつては外国航路の待合室だった(深水千翔撮影)。

 しかしこの複合施設の建設予定地で2023年、「旧門司駅の遺構」が発掘されたのです。

 発見されたのは、1891(明治24)年に開業当時の機関車庫の基礎部分で、鉄道黎明期の建築技術を伺える貴重な資料とされています。

【えー!】これが「使い道を失った」旧JR九州本社ビルです(写真)

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